Day58 生きろ、そなたは美しい。

58日目 7月3日(金)

今日も私の朝は遅い。10時半頃、のっそりと起き上がる。

案の定今日も何もないので、のんびりとした午前中を過ごす。アニメ『かくしごと』を見る。「書く仕事」と「隠し事」などいろいろな意味が重ねられていて、面白い。下ネタ漫画家でそれを娘に隠したい父と、父の隠し事を知りたい娘のお話で、エンディングが大滝さんの有名な「君は天然色」になっていて、個人的に味があってとてもすきだ。

午後は『もののけ姫』を観にいこうと決意する。よし、ここまで予定通り。

今週三回目のご利用です、ありがとうtohoシネマ日本橋。もはや常連気分。ジブリ見過ぎだろって思っているそこのあなた、正解です。

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「生きろ。」

いやぁ、やっぱりこのコピーがいつになっても好きだ。たった3文字でも、こんなに力強い。すごい。噂ではこれ、たった3文字で億単位の報酬らしい。凄すぎる糸井重里。

ナウシカほどは泣かなかったけれど、何度見ても心を動かされる作品だ。いつ見ても色あせない。こういうのをきっと名作というのだろう。

以下、個人的な感想。ネタバレあり。

・タタリ神から受けた呪いを解く何かを見つけるため、西へ旅に出る我が名はアシタカ!旅に出る理由が曖昧になっている作品ってわりと多いけど、そこが明確に描かれているもののけ姫、とてもいい。何事も彼のように目的を持ってやるべきですよね。

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・アシタカが故郷の村の許婚?のカヤから譲り受けた黒曜石の小刀を、さらにサンに贈るシーンで、ああ、これは要するに「愛している」というサインなのだと思った。「好きだ」と直接言葉にはせずに、狼伝いでこの小刀をサンにさりげなく贈るアシタカが最高に推せる。

・アシタカとサンの関係、尊い。尊すぎる。尊いふたり。永遠にくっついてほしい。サンの声を担当している石田ゆり子の声が想像以上に可愛くて、可愛い。サンかわいい。「アシタカは好きだけど、人間は好きになれない」って言っちゃうサンもかわいい。

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・ボスの犬神、モロの声を担当している美輪さんの演技がうますぎて、本当に震える。心が震えるってこういうことなんだというくらい、彼の声を聞いていると身体全身がとてつもない力に包まれているみたいにゾワゾワした。

・やっぱり米良さんの歌がいい。「はりつめた〜弓の〜」の時点で心の感動はMAXである。日本人でよかったと心底思った瞬間その一である。映画館でしか味わえないこのダイナミックさは、やはりわざわざこの時期に劇場にまで足を運ぶ価値があると思う。こうして映画館でジブリを見られるのは今しかないかもしれないし、日本だけかもしれない。見て損はない。

・ジブリに出てくる人たちは、全体的に強い女性が多くて好きだ。メインキャラクターも、その脇で出てくる女性も、ひとりだったり仲間を率いていたりどんな形であれ、みんな自立していて自分をしっかり持って強かに人生を切り開いていく女性ばかりだ。ただ男に踊らされるような典型的な女性の姿を女性キャラに映し出していないところが、ジブリの非常に好感の持てるところだ。自分も励まされているような気持ちになれるから、好きなのだ。

・たたらの村人のひとり、トキがとてもいいことを言っていたので、載せておこう。

トキ:生きてりゃなんとかなるさ。

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いやめっちゃシンプルやん。そうなんだよ。でも、生きてりゃなんとかなる。そりゃ、人生は辛いことや苦しいことばっかりだって犬神さまも言ってた。でも、それでも、生きてりゃなんとかなるんだ。死なない限り、なんとかなるもんだ。時間はかかるかもしれないけれど、ゆっくりと少しずつ、生きている意味が見出せるかもしれない。サンがアシタカから言われたように、この世の中でたったひとりからでも「生きろ」と言われたら、生きようと思えるかもしれない。だから、今日も頑張って生きてこう。そう思える。

「生きろ。そなたは美しい」って、私も言われてみたい。誰でもいいから言ってくれ。根拠がなくても言ってくれ。それだけで生きる元気もりもり湧くよ。

・でいだらぼっちって、結局なんなのだろう。彼は死んだけど、死んでいない、この地に生き続けている。だって神だから。ってアシタカは言ってた。今では神なんて目に見えなくて祭り上げられているただの偶像的なものになってしまっているけれど、昔の人はこうしてでいだらぼっちみたいに、大きくて偉大なる何かをその目でハッキリとみていたのかなあ。

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「共存」

結局この物語は、どこまでいっても「共存すること」がテーマだと思う。森の動物や自然と人間が共存していけるかどうか、不条理によって不幸にも呪いにあってしまってもそれといかに共存していけるか、生贄的に森に捨てられても、その中でどう動物や神様たちとサバイブして共存してけるか、そういうことを問うているのではないかと思うの。自分の置かれた境遇を、ああ不幸だと嘆き悲しみ途方に暮れるのはその通りだしとても楽だけれど、その苦しみと共に生きていくために、自ら立ち上がり、共存していく道を探すっていうのが大切なのかもしれない。いまの生活にも通ずるものがありますね。

とりあえず、ジブリは深い。深いです。一見子供向きだけど、奥底にはとても深いテーマが隠されている、それがジブリです。子供には分からなくて結構。いま、大人こそ見るべきアニメが、ジブリだと私は思うのです。

ああ。私も、あなたも、生きろ。

おやすみ。


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