銭コだけではない終活…
就活ではない。終活。
若い人には全然ピンとこないかもしれないが、自分が死んだ時のことを考えて準備する。ということ。
私くらいの年代になるとこの話が出ることが多い。それは親が亡くなる人達がちらほら出てくるから。命は永遠じゃない。「どんな人でも避けられない」死を考えるようになる。
墓の管理が大変だから死ぬ前に墓じまいしたい。とか、財産分与のために遺言書を遺す。とか、葬式に金をかけたくない。とか…。死ぬ前にどうしたらいいんだろう。相続で自分がアタフタすると考えるのです。
父は長生きでした。85歳を過ぎたあたりから軽い認知症になり始めたのです。仲の良かった友達が亡くなったのが堪えたようでした。それがきっかけで認知症になったのです。
友達は写真店を営んでいた男性で、父より数歳年下でした。写真店の並びにある喫茶店で二人でお喋りするのが日課でした。
別れは突然やってきました。
その日、父が喫茶店に行っても友達が来なかったので写真店を訪ねると、ご家族が「脳外科に入院した」と言うのです。電車で10分ほどで着く駅の近くにある小さな脳外科です。
次の日、父はお見舞いを持ってその脳外科を訪ねました。そこで、職員の方から友達が入院してすぐに亡くなったことを聞かされたのです。
父はお見舞いのお金を慌てて香典袋に入れ替え、写真店を訪ねてご家族にお渡ししました。
10日ほど経った頃でしょうか、いきなり家に香典返しのハンカチが送られてきたのです。
身内だけで葬式を済ませたのでしょう。父はお葬式に出て友達を見送りたかったのです。
ハンカチを私に渡すと「…アイツに似てケチだな」 とボソッとこぼしていました。
葬式をあげなかったのは、その友達の意志かどうかもわかりませんでした。そのことも悲しかったでしょう。
父は抜け目ない性格なので、公正証書遺言をしっかり書いていきました。それが唯一の終活でした。
長生きした父の友達はほぼ全員亡くなってしまったので、身内だけで葬式をあげました。
葬式は結構金がかかりましたよ。家はお寺があるので無碍にできません。3ケタかかった。
お寺も人口減って檀家も減ってるから必死なのよ。わかるんだ…。お坊さん便とかやられちゃったら生活キツイんだワ。
はぁ~。
話がモロに脱線するけど、葬式をどのように出すか…ということも遺言書に書いてほしかった。っていうかこれから遺言書を書く人はゼッタイ書いておいた方がイイ。
葬式代ってFPの試験にも出るけど、相続財産から控除できる。それも頭の片隅に入れておく。
まあ、生まれてくるにも死んでいくにも、多かれ少なかれ銭コがかかるんや。
そして、コロナ禍もあって密葬がブームだけど、最後の挨拶がしたいっていう友達がいるかもしれないってことも、少しは考慮した方がいいのか…なぁ。
人は一人では生きていけないのよ。