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『ぼくがかんがえたさいきょうの仮面ライダーリバイスのエンディング』

結局のところ正義なんてものは主観によって異なってくるのだ。内的な欲求を正当化する為の便宜として正義と謳っているだけにすぎない。絶対的な正しさはどこにもありはしない。主観に基づいた相対的な正しさを個々人が指標として持っているだけにすぎないのだ。アギレラが率いる群衆とフェニックスの群衆が入り乱れる様を一線から退いて嘆く一輝。何度同じような対立を繰り返すのだろう。俺は俺の正義の為に彼らと闘った。彼らもギフの再臨やアギレラの復讐を望んで彼らなりの正義を行使しているだけなのだ。なんと虚しいことか。和解の道を選べずに対立の組織や社会を滅ぼす事でしか解決の道を切り拓けないだなんて。街は阿鼻叫喚の地獄絵図。戦闘から離れようとする民衆が保身の為に罵詈雑言を浴びせあう。果てには肉体言語の応酬。視線が不明瞭な男。泣き叫ぶ女。前線から逃れる為にまた新たな紛争が生まれていく。血で血を洗う人。人。ここが地獄なのだろう。いや、場所や条件が地獄を決定付ける訳ではない。これを地獄と認識する俺自体が地獄を生み出しているのだろう。これは真の混沌ではない。秩序を生み出す前には一度世界が混沌に堕ちなければ、均衡は成し得ない。正しさなどないのだ。俺が介入したところで、結局は誰かの正義を損なうことになる。アギレラ達にもフェニックス達にも彼らなりの信念があって、その過程にあると不都合なものを排そうとしているにすぎない。あそこにいる民衆もそうだ。エゴイズムを尊重して自己保身が先行するから他者を蔑ろにして抗争が起きている。嗚呼。俺が介入する余地は無い。介入したところで、また新たな主観が火種となるだけだ。ここは秩序の為に静観しよう。今ここで決着を付けるのが正しいとは限らない。絶対的なものとして正義が存在し得ないのであれば、正義が曖昧で有耶無耶になったまま、もどかしさを感じながら皆が共に生きていくのがいいのではないか。俺は多様性のある社会を望もう。誰もが生きたいように生きていい。自分本意が許容される世界を望もう。この混沌が現時点で最も均衡が取れた秩序ある世界だ。俺の方針が決まればもうここで静観している必要もない。家に帰って風呂に入ろう。そしてご飯を食べてひとしきり眠ったらそれでいい。それでいいのだ。
 いったいどれくらい寝たのだろうか。背中が痛い。これほど熟睡出来たのは久しぶりだ。いつもバイスが語りかけてきて眠れたものではなかったが、気付けばいつの間にか彼の声は聞こえなくなっていた。変身を重ねるにつれて、悪魔を完璧に掌握できるようになったということだろうか。いや、逆か。バイスは俺自身に秘めた欲求が悪魔という形式で顕現したに過ぎない。俺が悪魔になったのか。理性を担っていた一輝という人格を根源的な欲求で覆い隠してしまったのだろう。いつから俺は悪魔になっていたのだろう。少なくとも自らの意思で家族を手にかけた時にはもう悪魔だったのだろうな。嗚呼。本当にこの選択で正しかったのだろうか。俺の選択は間違いなのではなかろうか。いや、よそう。絶対的な正しさなんて存在しないのであれば、間違いも正しさもありはしない。これでいい。
 家を出て街の様子を見る。人の形を保ったものが一人もいない。皆一様に悪魔の様相をしている。先の抗争は悪魔が悪魔と戦う形で継続している。悪魔の蔓延る無法地帯。混沌の中にある、自分本意という秩序だけが存在する楽園。西からズシンズシンと地鳴りが聞こえる。半壊したビル群の隙間から大きな影が動くのが見える。恐竜だ。恐竜のいでたちをした肥大化した悪魔が、瓦解した社会を蹂躙する。ズシンズシン。

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