バースデーケーキやりません☆横浜市港南区のケーキ屋、手作りおやつ工房とさか

ずっと断り続けていたバースデーケーキ

ふと、村上春樹の『1Q84』を思い出しました。

「私の、そのこだわりは本当に正しいんだろうか」「お客様のニーズに応えるべきなんじゃないか…」最近色々考えていたところでした。

先日電話で問い合わせがあり、多分初めての方ですが、「今日何時までやってます？ホールケーキ予約したいんですが」と言われ、「うちはやってないんです」とお断り。

でも数日後、「子どものバースデーに今年はとさかさんにお願いできないかなって主人と話していて…」とリピーターママさんから相談がありました。

「うちはずっと皆さんにお断りしてきたんだけど…うーん…」と店主。

「ホールケーキじゃなくていいんです。うちの子、とさかさんのいちごロールが特に大好きで」とママさん。

いくつか提案して、ご夫婦で考えて頂くことにしました。

リピーターさんに背中を押して頂いた

翌日、いちごのショートケーキを試作しようと迷いはありませんでした。

ずっとやりたくないと思っていたこと。

ずっと逃げてきたこと。

「お菓子屋さんなのに、バースデーケーキやってないの？」「ケーキないんだって～」とオープンしたての頃、色んな人が来て残していく言葉にグサグサと勝手に傷ついていました。

バースデーケーキをやらない理由①

私がまだ小さい頃から、母は信者ではないけれどクリスチャンの方々と親交があり、教えに沿った躾は厳しいものでした。教えの一つに、「誕生日を祝ってはならない」というのがあり（お察しの方も多いかと思います）、

今私は無宗教ですが、自分のも他人の誕生日も、なんとなく祝う気持ちになれません。三つ子の魂百までも、とは本当みたいですね(^_^;)

バースデーケーキをやらない理由②

大学卒業してしばらく実家にいた時、「これから料理人目指すなら、ショートケーキくらいできなきゃ」とおやつに5日くらい連続で作ったら、母から「もうやめて！！」と言われてしまいました(^_^;)

私、納得するまでやるタイプなので、たった5回しかやってないんですけど…。（ちなみに、手作りおやつ工房とさかを開業する前、ロールケーキやスフレチーズは80回くらいずつ試作を重ねました。朝昼晩、おやつと毎日毎食ロールケーキ食べてた夫は、「この前よりおいしくなってる！」「まさよさんのは、いつもおいしい」と決して否定しませんでした）

バースデーケーキをやらない理由③

①と②が大きな理由なんですが、お客様にいつも言う断り文句は、「うちは日常のおやつの店なので、誕生日はバースデーケーキをやってるケーキ屋さんを利用してあげて下さい」。

今までは、本当によく来て下さるリピーターさんが「とさかさんのロールケーキすごくおいしいから！是非作ってほしい」と頭を下げられても、自分の心と向き合う勇気がなくて、ずっと言い訳していました。

頭を下げるお客様にお断りするのはとても苦しかったです。でも、向き合うのも苦しい…怖い…。

「お客様に笑顔になってもらいたい」とお菓子作りをしているはずなのに、お客様にとって大切な日の特別なひと時に寄り添う気持ちになれない自分が嫌でした。

そんなへなちょこな店主を一歩前進させてくれたのは、リピーターさんでした(^-^)

頑固な店主です…(^_^;)リピーターさんは皆さん、とっくにご存知ですね…

これからは、自分のこだわりからちょっとはみ出て、柔軟に穏やかに生きられたらなと思います☆

手作りおやつ工房とさか
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