子どもを信じるということ
子育て中の親にとって、
「子どもを信じる」
とはどういうことなのでしょうか?
「期待通りに育ってほしい」という思いは、
誰しもが持っているかもしれません。
しかし、その期待が叶わなかったとき、
あなたは「裏切られた」と感じてしまうことは
ありませんか?
「信じる」という言葉は、多くの場合
「期待すること」と混同されがちです。
けれど本当に子どもを信じるというのは
子どもが期待通りにならなくても
ありのままを受け入れることなのです。
たとえば、
テストの結果が思いのほか悪かったとします。
あなたが「もっと良い点数が取れるはずだったのに」と期待していたなら、
その成績に落胆するかもしれません。
しかし、この瞬間、子どもは
あなたを裏切ったわけではありません。
ただあなたの描いた理想と、現実の姿が
違っていただけなのです。
子どもには子どものペースや特性がある。
「信じる」とは、そんな子どもの全体像を
失敗も短所も含めて
そのまま受け止めることなのです。
ここで大切なのは、
「期待しちゃダメ」ということではない
という点です。
理想や目標を持ち、
「こうなってほしい」と思うことは
親として自然ですし、
悪いことではありません。
問題は、
期待が叶わなかったときに
「裏切られた」と感じてしまうこと。
期待が満たされない=失敗
と決めつけてしまうと、
子どもは「自分はダメなんだ」という
メッセージを受け取りやすくなります。
それは子どもにとって理不尽な
プレッシャーであり、
逆に親子関係を損なってしまうことも
あるでしょう。
一方で、「信じる」という行為は、
子どもの安心感と自己肯定感を
高めるだけでなく、
親自身にも良い影響を与えます。
例えば、
発達心理学やアタッチメント理論によれば、
親が子どものありのままを受け入れ、無条件の安心基地となることで、子どもの心は安定し、自発的な成長が促されます。
その結果、子どもの行動を過度に管理したり、結果に一喜一憂したりする必要が
減っていくのです。
こうした関係は、親にとっても
大きなメリットがあります。
親が子どもを「できるがまま」に信じられるようになると、
親自身の不安やイライラは軽減されます。
「子どもが思い通りにならなくてもしっかり育っていく」ことを理解すれば、
親はプレッシャーから解放され、
より穏やかな気持ちで
子育てに向き合えるようになるでしょう。
「子どもを信じる」とは、
子どもがあなたの期待通りにならなくても、その存在をまるごと肯定することです。
それは、子どもにとっても
親にとっても
より健やかで前向きな関係を育む
大切な土台となるのです。