葉桜と魔笛感想
まえがき
これは比呂ころくさん主催の読書感想文アンソロジーに掲載させていただいた、葉桜と魔笛の感想文です。
今年の読書感想文アンソロジーにも投稿させていただいており、今日発売開始とのことで昨年の感想文をWeb再録しました。
こっちは昨年のアンソロのDL版
こっちは今年のアンソロ。私は女生徒の感想を投稿しました。こちらもよろしくお願いします。
本文
この小説を語るには、本を読むなんてちっともしなかった小学生の頃の私の話からしたくなる。
その昔、小学生だった私は何を思ったのか走れメロスが読みたかった。児童書版を買ってもらって読んだものの、よく分からなかった。その本に収録されていたのは、何編かあったはずなのに、葉桜と魔笛だけ覚えていた。これが太宰治に関する一番古い記憶だ。
私は太宰治のことが、史実概念、もちろん作品もとても好きだけど、これだけは段違いに好き。 その根底に、本を読まない子だった小学生の私が気に入った小説だ、ということもあるだろう。
妹のM・Tという男から手紙を読んだ「私」は、妹を見かねて、その男の振りをして手紙を書く。その、「私」の妹を想う姿が激情的でなんとも美しい。妹にはお見通しだったけれど、優しい嘘は素敵だった。
口笛の主が誰だったのか。それは誰だっていいけど、神さまのお恵みと信じる方がきっと良いのだろう。私はきっと、そう思う。
この時代よりずっと物欲溢れる時代を生きる私は、神さまのお恵みなんて思えない、信仰が薄れるどころか、ない人間だ。信じるものなんて、ころく教とサイゼリヤくらいだ。その私が、きっと神さまのお恵みと信じる方がいいと思う程に優しい話だ。
なにせ、この話は美しくて儚い姉妹愛の話なので読んで欲しい。きっとそれで片付ける話でもないけれど。
あとがき
大人になってから書く読書感想文は、先生ウケとかを気にしなくていいし、自由で好き。
義務で書くものでもないし、ほんとに好きなもので書く読書感想文というのは自由で素晴らしいです。知らないひとは商品ページの目次を見てみてほしいです。この自由さを。
あと、正直今年の方がよく書けてるからぜひ読んでくれると嬉しいです。
そして、昨年感想文を書いた葉桜と魔笛と、今年感想文を書いた女生徒のどちらもが収録された短編集のAmazonのリンクを貼って締めくくろうと思います。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?