『ルックバック』観てきたけどアニメ作品としても映画としても傑作!
『ルックバック』 観てきました!
もー最高すぎる……
原作は読んでたし結末も知ってたので、途中から涙が出てきました。もう楽しそうな光景が描写される度にもうだめ。……そのあとずっと泣きっぱなし。(比喩でなくずっと涙ぐんで観続けた)
『ルックバック』を漫画を含め初見だった人は、もう一回観るのを絶対オススメします!
様々なシーンの捉え方が違ってきますよ! 全然、見方が変わるはず!
二度美味しい思いができるあなたは幸せです!
『ルックバック』は比喩でなく、号泣しまった映画なんですけど、今落ち着いて考えると、悲しい時の涙とはちょっと違う感じなんですよねえ。もちろん悲しいってのも入っているんですけど、それだけではない感情が入り混じってちょっと複雑な感情。何故そうなのかは分析はなんとなくできるんですけど、今それを語るとネタバレになると思うので今は堪えます(ここは頭を冷やしてからの加筆です)。
原作も背景の絵やフジノちゃんが見てる景色だけで何をいわんやか、ずーんと入ってくるですが、アニメになって、色が付き、奥行きや温度感、さらには音楽でけっこう入ってくるんですよねー感情が。
ありがちな言葉ですが、制作に関わった監督が原作の良さをすごく理解しているんだと思います。
藤本タツキ先生の思考と同化してるんじゃないかと思うくらい。
原作自体も実写的な構図やコマ割りではあるんですけど、それをひじょーに上手く消化しているというか昇華させてる!
元々映画向き?
『ルックバック』は原作を読んだ時から、これ実写よりアニメ化向きだなと思いました。物語構成が素晴らしかったので何かしらの映像化はさせるだとは思ってました。もし公開されるならネットフリックスあたりと予想していたら、まさかの劇場公開だったので、Xに制作情報がってきた時には驚きました。
監督が適任だったのでは?
今回最高の人材が担当してくれたんだと思います。監督のキャリアはまだ知りませんが演出を見る限り、この人でよかったなーって感じです。
印象深かったシーンはたくさんあるんですけど、その中のひとつがあって、オープニングで背中を向けて一生懸命漫画を描いているシーンが長尺で進むんですけど、その仕草が……なんというか、漫画を集中して描いてる感が(一生懸命感というか)最高なんですよ。
机の上に置かれた鏡に大注目して!!!
あと、表情がいい! すごくいい!
楽しそうな、幸せそうな、そんな表情がめっちゃいい。作画の人、または作画監督の人は藤本タツキ先生の魂憑依させて描いてますね、絶対。
映画的演出とアニメ的演出を両方上手い
まだ(現時点)では漫画と違いなんて比べる気にはなりませんが、多分、所々、オリジナルシーンはあるのではないですかね。漫画でのコマとコマのつながりが自然な演技(?)に感じたところは多分そう。
もともと藤本タツキ先生は見開きページや大コマの使い方が上手い漫画家さんだと思うんですけど、その意図は映画演出の感覚に近いと思うんですよ。つまり画面のアップや印象的でキレのいいカット割やスローシーン等。そこを漫画で演出しようとするとああなってくる。なぜなら漫画は動かないから。
そもそも目指していた部分が同じなので監督もコマの意図を理解しやすく。ああも違和感なく原作とシンクロしているんではないでしょうか。(勝手な推測でしかありませんけど)
『ルックバック』の演出で良かったと思ったのは時間経過です!(田舎の景色や、細かい小道具もよかった)
同じ山を映しつつ季節が変化していく事で時間の経過を描く。そういう普通じゃない?って思う人もいるかと思うんですけど、それを美しく撮っている監督がどれだけいますか?って話。じっさい効果音だけでも描写できるのでコントなんかでも使うようなシンプルな技術ではあるんですけど、余談ですが、この手法を考え出したのは黒澤明監督らしいです。
藤本タツキ先生の作家性とは
作家性だと思うんですけど、藤本タツキさんの作品って死は避けられないものという強い意識と、魂(意識)は普遍でずっと続いている、という相反するものが同居する感じなんですよねえ。「ファイアパンチ」にしても「さよなら絵梨」にしても。「さよなら絵梨」にいたっては単行本一冊で描いた“御見送り”だと思ってますから。
うまく表現できないけど、喪失感を否定と肯定というふたつの側面で捉えている感じ(ちょっと何を言ってるかわからないかもしれませんが……)。
それ故の結末だったというか……。
ラストシーンはいろいろ捉え方ができると思います。それをさせる原作の展開もそれを強調できた映画の演出も、どちらも最高すぎですよ。感情をセリフではなく、景色、絵、一コマのシーン、表情の一発で伝えてくるのはすごい才能です!
表情の描き方が素晴らしすぎる
アニメで特に、いいいなあ、と思ったとこですが、目の描き方というか、目と瞳の描き方でした。
瞳の描き方はキャラが感じているであろう感情を想像しやすくなると思うんですけど、漫画は瞬間の一コマでしか描けないところをアニメでは動きとして描写できる、この強みをもってしっかり作り込まれてるからすごくよかったと思ったんです。これによって、ふたりの大好きなものに取り組む姿や子供らしさも上手く出てたし、もちろん原作の絵自体もいいんで、それを崩さずに描くところも大評価。
思うがままに感じた事を書き散らしているのでまとまってない文章になってしまいましたが、とにかく良い作品でした! 一時間ない筈なのにそんな感じは全然しなくて、それだけ濃密だったって事なんだと思います。DVD欲しいと思ったんは久しぶり。
見るべき!
入場特典で藤本タツキ先生のネーム本がもらえたのはめっちゃ特した気分でした。アニメ作品としても映画としてもさいこー!!
あと今日が公開初日とは知らなかったので、なんかこの日付のチケット捨てれない。
演じた二人の声優さんたちが素晴らしい
声優さんたちもとても、よかったです。事前情報をほぼ遮断して臨んだのでキャストが声優さんなのか俳優さんなの分かってませんが、すごく良かったです。これは断言できる!
藤野は物語を通すと感情の振れ幅がすっごく広いんですよ。どの演技でもハマってたと思う。
対してテンションずっと低いんですけど、京本は狭い範囲で大きな感情の振れがある。
それをお二人とも見事に演じてる!
何故そう思ったかというと、藤野と京本がそこにいる感がすごくあったから。
アニメであって絵ではあるんですけど、あ、この子たち、そこにいるんだあって感じ(存在している感)が確かにあったんですよね……。理屈じゃなくただそう感じる事ができた。ここなんですよ!すごいのは。もちろん藤本タツキ先生が考え出したセリフ、監督の演出や脚本、作画力というのもありますよ。ありますけど……声の力ってすごい。
直後はそこまで考えられなかったけど、よく考えられなかったけど、これ、すごいことをやってるんだなあと思いました。
ちなみに漫画読んだ時、京本ちゃんが訛ってるの気が付かなかった。
全部のシーンに感想つけれるくらいですけど、この想いを全部アウトプットしてしまうとネタバレになっちゃうんで我慢します。下書きとしてそっと隠しておく事にします。
『ルックバック』はリピートするともっと泣くよ!
最初にも書きましたけど、結末を知ってると2度目の鑑賞はどうかなっと思うかも知れませんが、『ルックバック』は、もっと心揺さぶられますよ。
見方がまったく変わってくるから。
漫画に熱中して活き活きしたふたりを見てるともう……うう、思い出すだけであかん。
とにかく見て!
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