見出し画像

「教育文法」を書く仕事

「教育文法」とは?

「教育文法」とは英語のpedagogical grammarの訳語で、ことばを教え、学ぶ時に用いる文法のことを言います。教育文法において大切なことは、「学びやすさ」と「使いやすさ」です。ただし、学びやすくて使いやすい文法でも、ことばの実態に合っていない文法では学ぶ価値がありません。そこで、言語研究の成果を参照することになります。

言語研究、あるいは言語学研究というのは、ことばの実態をありのままに捉え、その背後にある法則に着目し、言語とは何か、そして言語を使う人間の脳はどのようになっているのかを探求する学問です。実際には、ことばの実態を捉えることを主に行う研究者と、そこからの理論化に重点を置く研究者がいらっしゃいます。こうした研究は、必ずしもことばの教育・学習を念頭に置いているわけではありませんから、そのまま教育文法に移植することはできません。言語研究の成果を教育学的見地から捉え直し、まとめ直すことで教育文法が紡ぎ出されていくのです。

教育文法については、『駿台教育フォーラム』に拙稿がありますので、興味をお持ちの方はご参照いただければ幸いです。

https://www.sundai-kyouken.jp/forum/back_num/vol30.html

「バイブル」はない!

教育文法をまとめていくにあたって、言語研究の成果をまとめた専門書などを読み込んでいくことになりますが、「バイブル」のようなものは存在しません。個人的に強く影響を受けた研究や先行実践(=先輩の先生方による授業)はありますが、この1冊は絶対だ!というものはありません。その結果、多くの本にあたって参考にしていくことが求められます。先行実践ということでは、学習参考書を参照することもあります。よく、「パクリ」かどうかという議論がネット上で繰り広げられたりしますが、先人の叡智を踏まえるという点ではすべて「パクリ」であるといえます。ただし、「バイブル」が存在しないということは、「丸パクリ」は存在しないことになります。

「ゆっくり」シリーズの参考文献

拙著、「ゆっくり」シリーズの執筆にあたっても、当然多くの参考文献に女を通しています。

https://ownricefield.hatenablog.com/entry/2021/02/10/013708

https://ownricefield.hatenablog.com/entry/2021/04/02/124341

「英文法」のほうが多くの文献に触れているのは、単に持田のキャリアの長さによるものです。英語は四半世紀教えていますが、古文を教えるようになって今年で3年目です。それでも古文については、「こんなふうに古典文法を教わりたかった」という思いを教育文法という形にしたいと思いました。

最後に実作のご案内です

まだ、「ゆっくり」シリーズをご覧になっていない方は、こちらからお求めいただけます。

『ゆっくりとしっかり学ぶ古典文法』のまとめ方の萌芽は、実は、ここですでに垣間見えたな、と自分では思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?