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文法用語の扱い方について

今回は文法用語についてのお話です。国語の授業と英語の授業で別々の文法用語の体系が使われているなかで、教師は、そして学習者は文法用語とどのように関わっていけばよいのか、というお話です。

文法を取り立てて教えなければ文法用語は不要です。しかし、日本語母語話者が英語を学ぶ場合のように、母語と目標言語が体系的に大きく異なるときには、文法を言語活動からいったん切り離して学ぶほうが効果的です。このため、英語の文法用語はある程度は必要です。一方、国語ですが、これも高度な読み書きや公的な場面での話し合いに必要な日本語を身につける際に、ある程度の文法用語を使ったほうが効率的です

最低限必要な文法用語は、品詞やその活用形の名前、そして文の要素の名前です。「○○用法」のような用語は必ずしもなくてもよいでしょう。例えば「述語」という文法用語がわかれば「叙述用法」は必要ではなく、「述語としての用法」で十分です。国文法と英文法での用語の食い違いは、現状ではそのままにしたうえで、両者の違いを授業の中で学習者に捉えてもらうようにすればよいと考えています。このほか、「句」と「節」の区別などはどうでもいい気がします。英語ではS+Vを含むものが節であるとされていますが、準動詞を「節」だと思っている学習者にわざわざ「それは『句』だよ」というのも不毛です。実際に研究者レベルでは「準動詞節」という用語も用いています。

私の授業では使用する文法用語はすべて定義します。できるだけ簡潔に定義するように努めています。定義しても定義が生徒に理解してもらえないという意見もあります。これへの対応策はふた通りで、定義が理解できるような言語能力をつけさせるか、文法用語を使わない授業を試みるかです。実際、私は予備校の授業では前者の方針をとっていますが、ある高校で授業した時には後者を採用しました。文法用語を使わない訳読から、英語を学ぶ足がかりを得られるようにするという試みは、全国の先生方の先行実践が蓄積されており、私もそうしたノウハウを参考にさせていただきました。

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