英語の「文型」について再び
今回は英文法学習の中で「文型」が重要とされる理由についてお話しします。この理由は大きく3つあります。
英語では日本語と比べて「文」を意識することが多い。
英語では文の述語には動詞が必ず用いられる。
英語では語順が固定している。
1について。英語でも日本語でも日常会話で「文」を意識することはなく、語句の断片を交わすことで会話が成立します。日常会話から離れていくにつれて、「文」を意識することが多くなっていくのですが、このときに英語のほうが文の完結性を意識することが多くなります。
日本語も「文」ではありますが、「主題+述語」という単純な構造でとりあえず伝わる文ができあがります。「主題」は「名詞+は」が用いられ、述語には「名詞(+だ)」が用いられます。この「主題」は主語であることが多いですが、主語ではないこともよくあります。また、主題がなく、述語だけの文も用いられます。
『枕草子』の「春はあけぼの」のような構文が現代でも普通に用いられているわけです。一方、英語では「誰が何をするのか」を文で明確に表す傾向があるので、具体的な動作などを表す動詞で文を作ります。
2について。今見てきたように日本語では「名詞(+だ)」を述語として用いることができます。これに対応する英語は「be+名詞」です。そしてbeを用いる時によく「S=C」という謎の等式が語られますが、これは上の例をTonight is sukiyaki.と英訳してしまうのを防ぐためで、数学的な厳密な意味での等式ではありません。日本語では形容詞や形容動詞も述語として用いることができますが、英語ではbeの力を借りる必要があります。
このbeは動詞です。英語の文は述語に動詞がどうしても必要で、動詞がないとどうしようもないのです。
3について。英語では語順が固定されているというのは、こういうことです。
日本語は述語が文末に置かれるのは原則固定ですが、その他の語句は比較的自由に配列できます。これは「が」や「を」などの格助詞が述語との関係を示しているからです。しかも、格助詞が省略されていても常識的に解釈されるのが普通です。
これは30年前に実際に稲村ヶ崎で聞いた文です。ガリガリ君が子供を襲った話はあまり聞きませんから、「アイスキャンディーを」「こどもは/が」と理解するのが普通ということになります。一方、英語には格助詞に相当する語(または語尾)がありません。このため、語順を固定することで、動詞の左側の名詞が主語、右側の名詞が主に目的語としているわけです。
こうしたことから、典型的な英語の語順を並べて覚えてしまおうということで整備されたものが「文型」なのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?