古典文法学習のこと
今回は、英語の話ではなく、国語の古典文法の学習についてのお話です。英語教師でもある国語教師、国語教師でもある英語教師という立場の私の考えている学習法についてお話しします。
こんなものを出しています。
古典文法の学習の第一歩は、古語が現代語とを比較対照して、どこが同じでどこが違うのかを大まかにでも把握することです。これは、古文の原文と現代語訳を見比べて行っていきます。このときに、奈良時代の作品、平安時代の作品、鎌倉時代の作品、室町時代の作品、江戸時代の作品を用意し、それぞれの現代語訳と見比べることで、日本語の歴史的変化を学習者が何となくでも感じ取れるとよいでしょう。
このときに、漢文の原文(訓点ありでよいでしょう)、書き下し文、現代語訳との比較対照も同時に行います。こうすることで、漢文訓読文の特徴が捉えられます。原文はついていませんが、日本史史料集を教材として活用するのも有効です。古代から現代に至る公的な文書の表現がどのようなものなのかを学習者に知ってもらうことも大切なことです。
こうした「概観」を把握した上で、文法の学習を本格的に始めていきます。ここでは活用表を覚えることも必要なのですが、まずは現代語の活用表と古語の活用表をここでも見比べることが大切です。どこがどのように違うのかを知ることが大切なのです。ここで私が提案したいのは文を書いたり声に出したりする学習です。古文は読めればよく書ける必要はないということから、古文を書くという活動はあまり行われません(漢文の書き下しくらいですかね)が、文法知識を身につけるには、実際に文を作って書いてみることが大切だと思うのです。現代文を古文に「訳す」のでもよいですし、2つの文を1つの文につないで書き換える練習を通じて連用形や連体形に習熟するといった練習も有効です。
助動詞にしても、「~形接続」という知識を覚えるだけでなく、実際にその活用形に接続した形を書いたり声に出したりして覚えていくようにします。例えば、「ず」は未然形接続、「き」は連用形接続、と覚えるだけでなく、「書かず」「書きき」「書かざりき」「流れず」「流れき」「流れざりき」という「語形」も覚えるようにします。また、助動詞は意味の理解も重要です。現代日本語と比べて、どこが似ていてどこが違うのか、とりわけ時制の仕組みが現代語と大きく違うことなどに注意を払うことが重要です。
noteでは私がふだん英語の授業を担当することが多いために英語の学習に関わる内容が多くなりがちですが、このような国語学習に関わるものもときどき扱っていきたいと思います。
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