自動詞と他動詞
日本語にも英語にも、動詞には自動詞と他動詞があります。自動詞と他動詞をざっくりと定義すれば、次のようになります。
これらの用語から直感的に抱く「自動詞=自分の動き」「他動詞=他人の動き」というイメージは必ずしも間違ってはいません。このイメージを精密にしていくと、「自分=主語」となります。「他人」とは主語以外の物や人です。他動詞では主語以外の物や人が主語による動きの影響を受けるわけですから、主語とは別の語句が文に必要となります。
「ドアが開いた/The door opened」では、主語である「ドア/The door」の動きを表しています。「父がドアを開けた/My father opened the door」では、主語である「父/My father」の動きによって、主語以外の物「the door」が影響を受けて開いています。このように、主語の動きの影響を受ける物や人を表す語句を「目的語」といいます。他動詞と自動詞の違いを目的語の有無によって説明されるのはこのためです。
もう少し例を挙げましょう。
このあたりでわかることがあります。日本語では「開く/開ける」「変わる/変える」「止まる/止める」のように、多くの場合、自動詞と他動詞の形が別になっています。これに対して英語では、多くの場合、自動詞と他動詞が同じ形になっています。
日本語には対応する自動詞と他動詞の対があるにもかかわらず、英語には他動詞だけで対応する自動詞が存在しない場合があります。この場合、存在しない自動詞を補うために、受動態を使います。
英語で対応する自動詞と他動詞がある場合でも、受動態を使うことがあります。
自動詞を使ったThe door opened.の場合は、ドアが自然に開いた(と話し手が見なしている)ことを表しています。これに対して受動態のThe door was opened.では、誰か特定はしないものの、背後に人の存在があり、人が開けたことを含意しています。このような状況は、日本語では「窓は開けてあった」のように「てある」を使って区別することがあります。
最初に挙げた「捕まった」や「ゆだった」に対応する英語の自動詞がないのは、「捕まる」や「ゆだる」が自然現象ではなく、人間が捕まえたりゆでたりした結果と考えられるからです。英語では「誰が、何に対して、何をするのか」という「動作主+動作+対象」の関係を重視します。これに対して、日本語では、人間が行った動作であっても自然現象であるかのように捉えることがあります。出来事を自然現象として捉える範囲が、英語より日本語のほうが広いのです。このため、日本語は自動詞が豊富であるのに対して、英語では他動詞が豊富であるという違いが生じます。
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