「でか美ちゃん」とネーミングのバランス感覚
「ぱいぱいでか美」さんという女性タレントがいたんです。学生時代、バンドサークルの先輩につけられた名前をそのまま芸名にしたとのこと。どうしてそう名づけられたのか一瞬で分かるくらい身も蓋もない名前ですが、その名前ゆえにテレビ番組「有吉反省会」に出演し、知名度を上げてゆきます。
彼女のような身体的特徴を表した言葉は他にもいくつかございます。ただ、いずれも芸名にしては生々しくなると思います。そういう話が全然平気な女性の知人に「『ぱいぱいでか美』みたいな感じの新しい名前を考えてください」とお願いしたら、「巨乳チチ子」という答えが返ってきました。
やっぱり「巨乳」が出てきました。そして、やっぱり本家より生々しくなったと思います。そもそも、カタカナ表記で誤魔化していますが、音読みと訓読みの違いがあるとは言え「乳」がかぶっているんです。更に、「チチ子」が地味に言いづらい。芸名とは言え人の名前ですから、よく使われる運命にある。そんな芸名がこの言いづらさではハンデになりかねません。
言いやすい、覚えやすい、面白い。三拍子そろっているからこそ、ぱいぱいでか美さんは名前が番組に取り上げられ、そこを突破口にして活動の幅を広げていった。もちろん、品はありません。ですから、ご本人も批判を受けたようです。それでも、番組に取り上げられたのは、身も蓋もない中にも「しょうがないなあ」と笑えるポイントがあった点が大きいと勝手に思っています。命名者はそこまで考えて名づけたわけではないでしょうが、あだ名として問題ないギリギリのラインを無意識のうちに選んだのかもしれません。そういうセンスがあった、という表現もできるでしょう。
ちなみに、ぱいぱいでか美さんは昨年の12月に改名をし、「でか美ちゃん」として活動してゆくことを発表しました。前々からゲッターズ飯田さんに「ゴールデンに出るなら『ぱいぱいでか美』は難しいんじゃない」と、占い師としてというよりも人として当然のアドバイスを受けていたそうで、それゆえの改名だと思われます。知名度を得て、タレント活動も続けられている。仕事の幅を広げるため、ソフトな名前へ変えるにはいい頃合いなのかもしれません。
ご本人の決断なのか、バックにブレーンがついているのかは分かりませんが、こうやってみると独特なバランス感覚の良さを感じられます。だからこそ、際どい立ち位置の中でもうまくやってこれたのかもしれませんね。