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題名読書感想文:55 2冊オチからの複数冊オチ
学生の頃、読書感想文という宿題に苦しめられた私は、「そんなに感想を書いてほしいなら題名だけで感想文を書いてやるよ」と世の宿題に反旗を翻しまして、「題名読書感想文」なる企画をこうやって続けています。というのは95%くらい嘘で、ほとんど何となくでやってます。
今回のテーマは「複数冊オチ」です。以前、ひとつの題名をフリにして、もうひとつの題名でオチをつける、「2冊オチ」というテーマで感想文を書きました。
読み直したら、2冊オチとか書いておきながら複数冊使っているものが結構ありましたね。タイトル詐欺、大変失礼いたしました。
あれからしばらく経ちまして、複数冊そろって初めてよさが分かる題名が貯まってきましたので、ここらで放出しようと思い立った次第です。よろしくお願いいたします。
まずは「ドローン産業応用のすべて」です。
今や撮影から輸送、農薬散布、果ては兵器まで、目的はともかく様々なところでドローンが使われるようになってきました。まさに伸び盛りの成長産業でございます。
だからなのでしょう。上記書籍が発売されて2年後に、こんな題名の本が発売されました。「続・ドローン産業応用のすべて」です。
「あれですべてじゃなかったんかい」なんてツッコミを入れそうになりますが、ドローンは成長産業であり、伸び盛り業界なんです。あの頃はすべて書き記したかもしれませんが、業界全体が成長期でございますから、すべてを書ききった直後から、新しいものが次々に生まれ、「ドローン産業応用のすべて」だけじゃすべてをカバーしきれなくなっていきます。そこで出たのが「続」なんです。
よほどのことがなければ、ドローン産業はまだまだ成長が続くでしょう。となると、「続々・ドローン産業応用のすべて」とか「今度こそドローン産業応用のすべて」とか「ドローン産業応用のすべてMk-III」みたいな題名の本が出版されるかもしれません。
続いては「タバコの科学」です。
アマゾンの書籍説明によりますと、ニコチンによる先天性奇形について書かれた本とのことです。真面目な専門書だと思われます。
ただ、同じ日に同じ著者が同じ出版社からこんな題名の本も出版されているんです。「タマゴの科学」です。
人は卵で生まれませんけれども、アマゾンの書籍説明によりますと、卵である期間が20日程度あるそうです。その期間について詳しく書いた専門書のようです。
書籍の内容は真面目ですけれども、2冊の題名は明らかに意図して似せています。韻を踏んでいるとも言えるし、ダジャレと言えないこともない。真面目な本にも関わらず、なぜ題名でダジャレをかますのか。著者によって理由は異なるでしょうけれども、意外とあるパターンなんです。ただ、2冊に跨ぐのは珍しいので、ピックアップしてみました。
違う意味でダジャレかどうか判断に迷う場合もあります。それが「新・芯から支える」でございます。
もともとは「芯から支える」という題名だったのが、「新」がついたことによりたまたまダジャレっぽくなってしまった。一見すると、そのように考えられます。
しかし、いくら調べても「新」がついてないバージョン、すなわち無印の「芯から支える」本の存在が確認できないんです。「あれ、おかしいな」と思いまして、著者のお名前で検索をかけましたところ、こんな題名の本が出てきました。
こちらも無印の存在は確認できませんでしたが、代わりに2も出ていました。
この本の存在で、狙ってダジャレに走った説が濃厚となりました。
続いてはこちら、「はじめての「雑貨屋さん」オープンBOOK」です。
題名から、はじめて雑貨屋さんを開きたい方のための書籍と一発で分かる形になっています。この本は「お店やろうよ!」シリーズの1冊となっておりまして、当然ながらこのシリーズには様々なお店の始め方について扱った本が出ていると思われます。
しかし、同じシリーズに「はじめての「ZAKKAYA」オープンBOOK」という本もあるんです。
どういうことなのでしょう。「雑貨屋さん」と「ZAKKAYA」、どこがどう違うのでしょう。業態なのか雰囲気なのか、ニュアンスの差なのか。とりあえず、こちらもアマゾンの書籍説明を確認しますと、「※本書は『お店やろうよ! 22 はじめての「ほのぼの雑貨屋さん」オープンBOOK』の一部を修正し再編集したものです。」という記述がございました。
調べてみたところ、確かに「はじめての「ほのぼの雑貨屋さん」オープンBOOK」という本もございました。
つまり、「ほのぼの雑貨屋さん」が「ZAKKAYA」に進化したものと考えられます。
ただし、「ZAKKAYAはほのぼのなのか?」という謎が残ります。偏見にとらわれた私には、どっちかというとトガった表現に見えるんですが、世間的にはほのぼのしてるように感じるんでしょうか。それとも、再編集した際、クールな雑貨を扱う店に路線変更したのでしょうか。この辺は内容を確認するしかなさそうです。
最後はこちら、「パネルシアターどうぞのいす」です。
「どうぞのいす」も気になるところですが、今回、着目するのは「パネルシアター」です。パネルシアターとは、「パネル布」という布製のボードを舞台に、不織布で作った人形を貼るなどして演じることを指すそうです。主に児童教育の分野で発達した文化のようです。
そんなパネルシアターですが、どうも別のものを使ったシアターも結構あるようなんです。例えば「かんたん&かわいい! すぐに使えるカードシアター」です。
パネル布の代わりにカードを使ったシアターと考えられます。確かにカードの方が使いやすそうですね。
ところで、パネルシアターは布の上を舞台にした劇場です。「だったら、もっと加工された布でもいいんじゃね」と考えるのは必然なのでしょう。だから、「エプロンシアター」もございます。例えば、「中谷真弓のエプロンシアター!」がそれです。
当然、布で出来ている製品はエプロンだけではないわけで、「手袋シアター」なるものも存在しています。例えば、「おはなしいっぱい! 楽しい手袋シアター」です。
先ほど、カードシアターがあったかと存じます。カードは紙製が多い。紙もまた布に負けず劣らず身近なものです。だから、「かんたん! 楽しい! 紙皿&紙コップのわくわくシアター」という本が出てきます。
数ある紙製品で何をシアター化するか。これは人によって大きく異なるところでしょう。とりあえず、紙皿と紙コップはシアター化されていることが分かります。
さすがに「紙皿&紙コップシアター」では語呂に難があると思ったのか、「わくわくシアター」と感情を前面に出す名前のシアターとなっています。
紙製品の名前をそのまま出しているシアターも、もちろんございます。それが「牛乳パックシアター」です。
紙製品を使うだけでなく、リサイクルという視点も入れ込んできたシアターです。環境に配慮したシアターでございますね。
きっと今後も様々なシアターが出てくるのでしょう。チラシの裏シアターとか、ふやけた段ボールシアターとか、枯葉シアターとか。よくよく考えたら、別に有機物でなくてもいいですね。その辺の石シアターとか、ビンの蓋シアターとか、二酸化炭素シアターとか。
大喜利の下手さがバレたところで今回は以上となります。