昭和15年。スリップに手編みのレースをつけて
こんにちは。きのうは今編んでいる作品が、もともとどんな本に載っていたかをご紹介しました。昭和15年に主婦之友社から出た『主婦之友花嫁講座 毛絲編とレース編』です。全十二巻ある「花嫁講座」シリーズの最後にあたります。全巻のラインナップはこちら。↓
洋裁が一巻を占めているのに対し、和裁は上下二巻になっていますね。また「実用手芸と染色」という巻もあります。その宣伝文句には
とあって、何だか「レース編」は肩身が狭そう。最終巻『毛絲編とレース編』の中でレースが占める分量はどれくらいかというと、下の写真をごらんください。レースの部の最初のページを開けてあります。
つまり……少ない。それでもこれだけ載っているのは大したものかもしれません。下のような写真もあります。手袋の上の四角いものは「襦袢の袖」。その上は「スリップの飾ヨーク」。昔の人は下着も自分で作っていたんですね。和装小物も昔の本にはちょいちょい載っています。着物の袖口から手編みのレースがのぞくなんておしゃれじゃないですか。
こんなものも綴じ込まれていました。シリーズ全巻を購入した人は、引換券を送れば本立てがもらえたんです。カラフルな装丁の本が12冊並べばきっと見栄えがしたでしょうね。結婚祝いとしての需要を当て込んだ出版かもしれません。
ただ……ここからはちょっと重い話になってしまうのですが。
この『毛絲編とレース編』が出版された昭和15年は、かなり大変な年なのです。その大変さはこの本からも読み取れますので、明日はそのお話を書こうと思います。(つづく)