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ワン・トゥ・ワン マーケティング - 1995年からの手紙 『顧客管理は姿勢である』
クラフトビールと歴史をこよなく愛するオーバルギアです。
今回は前回「ワン・トゥ・ワン マーケティング」の続きです。
↑の本「ONE to ONEマーケティング―顧客リレーションシップ戦略」を参考にしながら「顧客管理は手段でなく姿勢である」というテーマで書いていきたいと思います。
ところで、↑のカードで1円ってなんかちょっとね。。。間違いなくもっと価値ありますよ、この本は!と料金の部分を非表示にしたい(笑)
ところで、新規顧客の獲得についてこのフレーズよく聞きますよね。
・企業が新規顧客を獲得するには、1件の既存顧客を維持するのに比べ5倍コストがかかる。
・一方、新規顧客の獲得という高コストなプロセスに(既存顧客維持に比べて)6倍もの費用を使っている。
平たくいえば、新規顧客を獲得するのは大変。なのに、多くのコストを費やしているよね、と。一方、既存顧客の維持は重視されていない状態だよねという指摘です。
うむ、耳がいたい(苦笑)
じゃあ「既存顧客の維持」はどんな行動を指しているのでしょうか?それは顧客と協働した商品・サービス作りです。
顧客と協働した商品つくり
これまでは、企業から顧客に商品・サービスを売る一方通行のものでした。
これからは(といってもこの本は1995年の本ですが)、企業から顧客へ商品を売るだけではなく、フィードバックをもらい商品・サービスをブラッシュアップしたり、商品そのものを作り出したりする体制が必要とのことです。
しつこいですが、今から15年ほど前、1995年時点に書かれた本です。なんだか最近書かれたもののような観点ですよね。
「語る」という切り口でも考えてみましょうか。
これまでは企業から顧客に一方的に商品・サービスの良いところを語って(広告して)顧客はそれを聞くだけでした。
しかし、これからは矢印が反対になります。「顧客が語り、企業が聞く」そこから商品・サービスが生み出される仕組み作りが大事ですよね、と。from 1995年。
顧客が語り、企業が聞く。そこから商品が生まれる。この企業からなら、顧客は欲しい商品を手に入れることができますね。
「商品の差別化」から「顧客の区別化」へ
これまでのマス マーケティングでは、商品を差別化し、宣伝することが大事でした。商品の違いを画一化された方法で宣伝し、より多くの人に届けようとします。
つまり、ある一定のセグメントされた顧客層は同じ思考で行動し、予測可能であるという世界観です。
しかし、ワン・トゥ・ワン マーケティングでは、顧客は一人ひとり違うことが原点です。顧客を大衆の一部としてではなく、個人として見立てていきます。そのためには、顧客一人ひとりを区別していく必要があります。
踏み込んで言えば、ある商品・サービスにとって、顧客一人ひとりの生涯価値は同じではありません。多くの利益をもたらしてくれる顧客、そうではない顧客。
自社にとってより重要な顧客は誰かなのかを見極める必要があるということです。
「一人ひとりの顧客を管理する」顧客管理とは?
「自社にとって最も重要な顧客は誰か?」
この答えを知らないとなると、顧客管理ができてないと同義になります。それは顧客情報の入手方法に問題があるのではなく、組織の姿勢に問題があるということにつながります。
顧客管理は、一人ひとりの顧客を管理する方法なので、組織も一人ひとりの顧客を管理する組織に変更する必要があります。
いやいや、そもそも一人ひとりの顧客と対話する場面はないんです・・・
これこそ、まさに変革が必要な言葉です。一人ひとりと対話する場面がないことそのものが問題です。直接対話できる方法を見つけないといけませんfrom 1995年(←しつこく記載してみましたw)
対比して見てきたように、これまでは顧客が企業と対話する方法はあまりありませんでした。顧客「から」の声を聞くよりも、顧客「に」語りかける姿勢だったからです。
ツールの問題もあります。顧客から企業にメッセージを送るための便利で安価なメディアがなかった。現代のようにソーシャルメディアで気軽にメッセージすることも、チャットで簡単に知らせることもできませんでした。だけど、それができるようになりました。
この本は1995年に書かれているので、2021年現在はもっと便利になっていますよね。常時接続しているスマホを使えば、いつでも・どこでも簡単にアクセスできますしね。
ワン・トゥ・ワンには「顔のない大衆」や「視聴者」概念はありません。「ターゲット層に宣伝文句を送る」という発想もない。あくまで「一人ひとりの個人と対話する」という考え方をしていきます。
「規模の経済」の終焉
マス マーケティングが得意な「規模の経済」から、顧客一人ひとりに向き合う「範囲の経済」にすすんでいくにあたり、キーワードとなる内容をみていきましょう。
範囲の経済
「規模の経済」との対比として「範囲の経済」。市場シェアを奪い合うのではなく、特定の顧客のことを深く知ることによって「顧客シェア」を高めていく世界観。
顧客とのリレーションシップが構築されていくことによって、どんなに強力なライバルが出現してもその顧客が奪われる可能性は低くなります。
情報管理者としての顧客
情報革命後の顧客は、情報の管理者となります。自分にあった情報、価値ある情報を探すことへのコストが圧倒的に下がったからです。顧客が価値を感じない一方通行の情報は、簡単に却下されてしまいますね。
共通経験をもたない世代
情報や娯楽に無制限にアクセスできる時代をいきるとき、これまでのマス メディアを通じた共通経験はもたなくなります。そのため「顔のない大衆」に向けたメッセージはもはや響きません。
でも、この現象は決して特別なことではなく、もとにもどった現状です(この記事の前編に詳しく)けれど、マス メディア全盛期を行きた人々には信じがたい出来事ともいえます。
商品からサービスへ
商品自体は時間とともに陳腐化します。しかし、サービスは違います。ある商品の納品、使用方法、メンテンナス等の関連サービスが重要視され、いわば商品とサービスは一体化していきます。
最後に
詳しい情報はONE to ONEマーケティング―顧客リレーションシップ戦略をご覧いただくとして、ここではサマリーをお伝えします。
まずは書籍の一文をご紹介します。
膨大な数の商品や顧客を抱える巨大組織は、企業間競争の複雑化にともない、製品管理を主体とした既存マーケティング組織では対応しきれず、すでに苦闘しはじめている。
規模が小さく、余分な贅肉のない組織として急速な成長を遂げている企業が巨人たちを乗り越える。
上記の文に続けて、
それは、そのような組織が単に敏速で柔軟性に富んでいるという理由からではなく、顧客により近いという理由から競争に有利なのである。
その結果、懸命に自己分析を行うことによって、より流動的で顧客志向の組織への転換に躍起になっている巨大企業もある。
これら多くの大企業は、事実上、半ば独立した小規模な組織ネットワーク構築という組織改編を行っている
組織の規模の問題ではなく、顧客に近いかどうかがポイントってことですね。
大企業でも組織改変によって対応は可能だし、逆に小規模でフットワーク軽くても、見るべき方向性を見誤るとうまく行かないともいえますね。
つまり「顧客一人ひとりと向き合う」とは、手段ではなく姿勢や体制ってことですね。顧客管理システムを使えば、顧客データを保存していくことはできますが、それをどのように活かすかは、この「顧客一人ひとりと向き合う」姿勢によります。
1995年に書かれたONE to ONEマーケティングにはそのエッセンスが凝縮されています。前編の冒頭にも書きましたが、2021年に出版されていてもおかしくないような内容でした。
個人的には、表現もキャッチーで(「市場シェアから顧客シェア」とか「規模の経済から範囲の経済へ」とか)頭に残りやすくて良いなと思いました。キャッチャーな表現は、読みやすくしてくれますよね。
この本で学んだことをいま自社で取り組んでいる顧客ロイヤリティプログラムアプリにも活かしていきたいと思います!それではまた!