手関節
手関節を中心にまとめました。
参考引用
大森信介. 手関節のバイオメカニクス. Jpn J Rehabil Med 2016;53:762-764.
手関節
手関節は
2本の前腕骨
8個の手根骨
で構成されています。
手根骨は
近位手根列(舟状骨、月状骨、三角骨)
遠位手根列(大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨)
を構成します。
また
近位-遠位手根列間:手根中央関節
橈骨-近位手根列間:橈骨手根関節
橈骨-尺骨間:遠位橈尺関節
を形成します。
手根中央関節は、有頭骨と有鉤骨が近位手根
列にはまり込む構造で、比較的骨性支持力が強いとされます。
橈骨手根関節は、靱帯性の支持が強い関節です。
遠位橈尺関節は,尺骨切痕と尺骨頭で形成され、前腕回内外に関与します。
遠位橈尺関節の遠位壁には三角線維軟骨複合体(triangular fibrocar- tilage complex,以下 TFCC)が存在し
三角線維軟骨
橈尺靱帯
半月相同体
尺側手根伸筋腱鞘
などで形成されています。
バイオメカニクス
手関節の正常可動域は
掌屈90°
背屈70°
橈屈25°
尺屈55°
です。
これらの運動は主に手根中央関節と橈骨手根関節 で行われます。
橈屈尺屈運動は,遠位手根列が中手骨と共に橈 屈時は橈側へ、尺屈時は尺側へ移動、近位手根列は遠位手根列と逆方向へ移動し矢状面での回転運動も伴います。
具体的には
橈屈時は尺側へ移動+掌屈
尺屈時は橈側へ移動+背屈
となります。
ダーツスロー運動(手関節の橈背屈から尺掌屈への運動)は手根中央関節で行われる運動であり、橈骨手根関節での動きは少ないため、橈骨手根関節に損傷がある外傷のリハでは、早期にダーツスロー運動を行うことは手根中央関節の機能を保つ面で有用といえます。
前腕回内、回外の正常可動域は90°です。
この回内外運動の回旋軸は
遠位:尺骨頭小窩部
近位:橈骨頭中心
とされています。
遠位橈尺関節の安定性に寄与するTFCCの構成要素である橈尺靱帯は、
浅枝:橈骨の尺骨切痕から茎状突起
深枝:橈骨の尺骨切痕から尺骨小窩
に分かれています。
回内時には背側浅枝と掌側深枝が、回外時には掌側浅枝と背側深枝が緊張するとされています。
コーレス骨折などは高齢者に多い骨折として有名ですね。
自分もよく担当します。掌屈、背屈には患者さんもよく気が行くと思いますが、少し複合的な動きにセラピストとして着目したいところですね。
ではでは。