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人工膝関節置換術ー術創部ー

TKA後の患者さんへの介入として術創部の管理は必要です。
今回はその管理について学ぼました。



参考文献

島田昇. 人工膝関節置換術後患者に対する理学療法管理. Journal of Physical Therapy Practice and Research, 2019(28).

手術の創部管理

術創部の管理は
・感染
・疼痛
・軟部組織の癒着由来の可動域制限などの観点から重要とされます。


創部の治癒経過

〜術後4日

血餅形成される瘢痕組織形成期です。
組織は非常に脆弱な時期のため、この時期は創部を直接触れることは避け、組織の修復を優先させましょう。

術後5~21日

コラーゲンの生成と分解が活発になり線維の増殖と収縮を認める時期です。可動域運動に適しているとされます。
抜糸後は創部の癒着を予防するために、創部を近づけシワを作るように創部のモビライゼーションを行いましょう。


島田昇. 人工膝関節置換術後患者に対する理学療法管理. Journal of Physical Therapy Practice and Research, 2019(28).

術後21~360 日

線維化が起こり、瘢痕強度が増します。2ヶ月ほど過ぎてくると創部として成熟するため、治療反応性は不良です。

よって、創部の可動性を向上させるためには5〜60日の間にしっかりモビライゼーションや可動域運動を行なっていくことが重要かと思います。


島田昇. 人工膝関節置換術後患者に対する理学療法管理. Journal of Physical Therapy Practice and Research, 2019(28).


アイシング

疼痛に対するアプローチの一つにアイシングがあります。
アイシングは
・神経伝導速度の低下
・血管浮腫、血管透過性の低下
から、疼痛、腫脹、浮腫を軽減する目的があります。

10 分間のアイシングで深部組織の温度が低下し、血管収縮効果はアイシン
グ除去後 30 分持続するとされているので、10分程度行い、30分以上あけることが推奨されます。

注意点は、15 分以上、10 度以下の低下で血管拡張が起こり、血流が増加することや、長時間の施行で、寒冷誘発性虚血による組織壊死や神経炎を引き起こす可能性があることです。適切な管理を徹底しましょう。


感染

人工関節周囲感染発生率は、2%前後に起こるとされます。

・低栄養
・肥満
・糖尿病、
・関節リウマチ
・腎障害
・手術の既往
・ステロイド関節内注射の既往
・手術時間等
はその発生因子に挙げられます。 

術創部の状態を確認し、炎症反応や白血球、C 反応性蛋白などの血液検査の経過を見ておきましょう。


周術期においては、動作の獲得などに加え、全身状態や術創部などの確認が医療チームの一人として必要となってきます。リハビリテーション自体が患者さんの治癒の弊害にならないような心がけが必要だと思います。

ではでは。

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