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TKAのリハビリテーション①

TKAのリハビリテーションは多くの病院などで実施されていると思います。実際はどのような内容が推奨されているのでしょうか。
文献をもとに少しずつまとめていきます。

参考文献

大藤範之. 人工膝関節全置換術後の理学療法. 理学療法とちぎ.2023,13(1); 13–21. https://doi.org/10.32134/pttochigi.13.13

TKAのリハビリテーション

手術前


TKA の目標設定

術前の介入では、まず目標を決めていく必要があります。

目標として上がる内容としては

・除痛
・趣味の再開
・復職
・外出や散歩
・農作業

などがあります。患者さんの心情やバックグラウンドにしっかり着目していきましょう。それらを紐解いていくことで、患者さんのhopeなどがわかり、患者さんと共有された目標を設定できます。問診をしっかり行い、ラポールを形成していくことも重要です。


変形性膝関節症の評価

TKAは多くの場合変形性膝関節症に対して行います。
変形性膝関節症により
・炎症や疼痛
・膝関節の内反変形
・可動域制限
・筋力低下
・歩行能力低下
などが引き起こされます。

痛みについてを例で挙げると、
・誘発動作
・負荷量
・程度
・痛みの強さや質
・時間
・期間
など詳細に記録しておくことで、術後の退院時や外来終了時に客観的に比較できます。


アライメントの評価


変形性膝関節症では内反変形が多くの患者さんでみられます。
通常、前額面において足関節中心から膝関節中心への線を引くと、その
延長線は大腿骨頭中心へとたどり着きます。正常なアライメントでは,足部から受ける力が最終的に骨頭を介して骨盤へと伝わる時に、足関節、膝関節、股関節の中心は一直線に並んでいるためアライメントとしては強固となります。
O 脚では、膝関節に内反するモーメントが働くため、荷重をかけるたびにより内反膝を助長することになります。TKA の手術時には内反膝のアライメントから正常のアライメントを目指して修正されるため、軟部組織の伸張や脚長差に変化がみられます。
そのため術前の可動域やアライメントを評価しておく必要があります。
特に術前の膝関節屈曲可動域制限は術後の膝関節屈曲可動域低下につながるため、術後の予後を検討するうえでも重要な情報となります。
術前の膝関節伸展可動域制限は、TKA 術後 3 ヵ月のExtension lagに関連することも示唆されていますので、こちらも評価しておく必要があります。
脊柱の側弯や変形性股関節症なども膝に影響を与えますので、修正が可能か、他で代償するかを検討することに役立てましょう。


筋力の評価

大腿四頭筋の筋力は術前の重要な評価の一つです。
術後 1 ヵ月後の大腿四頭筋は 51.56% 減少し、6 ヵ月後は術前と同程度だが非術側と比較して低下したままという報告もあり、術前の筋力を評価して
筋力低下に備えるべきです。


歩行の評価

術前の歩容の特徴や身体機能を把握しておき、術前の外来リハビリで強化、修正したり、術後の治療において、歩容改善のための一助とするべきです。
また術前の歩容を録画しておき、術後の歩容と比較して見ることができれば、患者満足度の向上にもつながると考えられます。


術前オリエンテーション

術前のオリエンテーションは重要です。
患者さんのTKAに対する認識を正しい方向に向ける必要があります。
例えば、術直後は痛みが出る点や、TKA の限界や、動作に工夫が必要な点もあらかじめ指導しておくと、患者さんの精神面や術後のリハビリテーションをスムーズに行うための一助となるかと思います。
本人の理解度や恐怖感を表情や言葉から読み取りながら、説明することが重要です。


術前のリハビリテーションに関わる人も限られてくるかと思います。限られた時間で、術後のリハビリテーションなどにより良い影響を与えるような介入ができるといいですね。

ではでは。

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