胸腰筋膜と傍脊柱支帯鞘 (PRS)
前回の記事では、胸腰筋膜が脊柱起立筋群を覆って存在していることがわかりました。
この脊柱起立筋を包む膜を胸腰筋膜の中でも傍脊柱支帯鞘 (PRS)と言います。
今回はこのPRSに関してまとめました。
胸腰筋膜とPRS
PRSは、腰椎の横突起や棘突起により補強された密な結合組織で構成されています。外側では、TrA(腹横筋)腱膜の前後層と交わり、三角形の構造を形成しています。これをLIFTと言います。
側方
もう少し詳しく見てみます。
後方中央では、PRSが腰椎棘突起と棘上靭帯に付着しています。そこから脊柱起立筋の外側まで広がり、腰方形筋(QL)と脊柱起立筋の間からL2-4の腰椎横突起に到達します。
PRSがQLと脊柱起立筋の間の空間に入ると、腹横筋(TrA)の腱膜と合流し、その後QLの後部筋膜と融合します。
このようにして、「MLF(中間層筋膜)」と呼ばれる構造が形成されます。
上方
上方では、PRSの前壁が、第12肋骨に付着します。
PRSの後壁は胸椎領域に入ると著しく薄くなり、「脊柱筋膜」と呼ばれる組織となります。かなり薄い組織だそうです。頸部に進むと、頸部傍脊椎筋の筋膜として機能します。
下方
PRSの下縁は少し複雑な構造をとります。
前壁は、腸骨陵の高さで腸腰靭帯と融合します。このレベルより下方では、前壁は腸腰靭帯と仙腸関節包に置き換えられます。
後壁はPSISに付着し、仙骨上を下降、大殿筋の付着部と側方で融合し、下方で仙結節靭帯と結合します
脊柱起立筋腱膜はPRSと融合し、仙骨を覆う非常に厚い腱膜複合体である「TLC」と呼ばれる構造を形成します。
PRSが胸椎から仙骨まで幅広く付着している組織であることがわかりました。胸椎からは薄く、腰椎〜仙骨部で厚い組織を形成することから、腰部の支持性への関与が大きそうですね。
ではでは。