不可視夜行列車
仕事が長引いちゃって、深夜に帰宅してた時のことなんですが。
深夜にしても人も車も通らない、まあ別に人通りの多い道じゃあないんですけど。
その時ストレスでちょっとおかしくなってて、道路の真ん中を歩いてたんです。
やると自分が主人公になった気がしますよ?
ああ、しないでくださいね。
ちょうど交差点だったかな、微かに音がするんです、タタン、タタンって。
遠くで鳴っている感じですね。
でもどんどん音が大きくなって、それが電車の音だって気づきました。
周りを見てももちろん電車なんかいません、そもそも駅から10分は歩いたところです。
あっという間に音は近づいて来て、人のガヤガヤした声と、駅名のアナウンスも聞こえました。
「ご注意ください」って警告と、列車の走行音が頭の中に反響してうるさくてうるさくてどんどんどんどん迫ってきて。
何かが体を通り抜けました、確かに「轢かれた」んです。
ものすごい風圧と甲高いブレーキ音がして、もうその場にへたり込んじゃって。
しばらく放心してましたね、体がバラバラになったんじゃないかって、何度も何度も腕とか脚を触りました。
側から見たら不審者極まりないですよ、家に着いたのはそれから30分後くらいでした。
ストレスが相当溜まってたんでしょうか?
皆さんも事故には気をつけてくださいね。