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「プラスチック」まみれの日々~京都新聞編
▼日本社会に生きることは、そのままプラスチックまみれの日々であることを実感させる記事を、以前、紹介した。
▼今号は、その京都新聞編。毎日新聞は2018年12月の記事だったが、2019年6月10日配信の京都新聞にも同趣旨の記事が載っていた。同じように、ちょっとユーモアがまじっていて面白い。
記事中には〈記者は44歳。約10年前に独り身に戻ってから、レジ袋にお世話になってきた〉と人生の哀歓もにじませる。
〈レジ袋ない生活を記者が体験 京都・亀岡市の禁止条例を前に〉
6/10(月) 11:53配信
〈京都府亀岡市が来夏施行を目指す罰則付きプラスチック製レジ袋禁止条例。禁止は世界的な流れだが、国内では初の規制で、影響は十分に分かっていない。ならば自分でやってみるしかない。1週間、レジ袋を使わない暮らしを体験した。〉
▼亀岡市ではエコバッグを無料配布しているそうだ。取材のスタート時、市の職員から折りたたみ式のバッグを「持ち歩くかばんに入れて」とアドバイスされるが、〈この助言を軽く見たことで後に試練を味わうことになる。〉
〈【火曜夜】コンビニへ。店員がレジ袋に商品を入れようとしたので止める。バッグ持参の客はほとんどいないみたいだ。コンビニには詰め替えスペースがない。背後に3人が並び、少し気まずい。シャンプーなどを両腕に抱え、車内でバッグに入れた。混雑の原因になったかも。〉
▼この気持ち、ちょっとわかる。ささいなことだが、後ろの人が不機嫌になっていないか、気になる。これも社会の雰囲気かもしれない。
次が面白かった。
〈【火曜深夜】帰宅すると、カニのにおいが部屋に充満していた。前日購入したカニの殻だった。これまではレジ袋に入れて縛っていたが、今回はごみ袋に直接捨てていた。防犯上、不安だったが、木曜のごみの日まで窓を全開にして耐えた。乳児や介護用おむつの防臭策としてレジ袋を使う家庭もある。レジ袋の効用を実感した。〉
▼これもよくわかる。部屋の外に出せればいいが、出せない部屋も多い。レジ袋は「便利」なのだ。
▼そして、ラストの言い訳が面白い。
〈【日曜深夜】京都市内で遊んだ帰り、晩酌用の氷とビールがないことに気付いた。買い物はしないと思い、バッグは自宅に置いてきた。折りたたみバッグも仕事用のリュックサック内で、休日は持っていない。自宅に戻るのも、氷とビールを抱えて歩くのも面倒だ。
私の車はまだ京都市内を走っていた。体験は亀岡市が規制した際の影響を調べるのが目的だったはず。京都市は「上から目線の規制はしない」とレジ袋禁止に否定的だ。延々と自分に言い訳し、亀岡市境に近い西京区のコンビニでレジ袋を受け取った。〉
▼亀岡市と京都市西京区との間で悩む記者の気持ち。毎日新聞の記事でもそうだったが、こうした些細(ささい)な「試練」の情報を、少し冷静に読んでみると、自分たちがどれほどプラスチックまみれの日々を無意識のうちに生きているか、読者に気づかせる効果がある。
レジ袋など影も形もない100年前の生活を知る人は、もう1人もいない。
(2019年6月16日)