きみの住んでたたまごのいろは
きみとキスしているあいだしか生きていてよかったなんておもえないのに、きみは死んでしまいたいなんて思ったこともないらしい、じゃあキスしているあいだ、なにをおもっているの、そう聞いたら、生きていてよかったって、おなじようにおもっているよって笑っていた。
圧倒的にぼくときみは他人でだから抱きしめあったりするってこと、ふたりでいるってことは、つまり、自分がひとりだって理解することなんだって、こんなに大事なことをだれも教えてくれないの、変だとおもうんだ。
ぼくはうんよく知ることができて、それは本当はきみではない子のおかげだったりするんだけど、きみのおかげ、って、君に嘘をついたのは、そのことと、君の好きな小 説、ぼくも好きだってことの、ふたつだけだよ。ほら、他人どうしだもの、隠し事だってあるでしょう。たしか出会ったとき、きみの趣味は、料理のはずだったね。
「フレンチトースト、食べたいな」
「明日のあさごはんは、それにしようか」
「メープルシロップ、買ってきてね」
ぼくがふつうの人のふりをするために、毎朝、ゆうれいになる目玉焼きは、きみの、本当の、とくいりょうりなんだって、ぼくがきみに教わった、大事なこと。
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生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。