cannot望郷
東京をトーキョーと呼ぶじいちゃんはけむりになって町を出てった
ふるさとと呼ぶには少し億劫な町で蛙は揚々と鳴く
腹痛に子宮を余らせる朝わたしを産んだひとが割る卵
腐敗でなく発酵としてふくらんだ身体で焦げたパンの骨をひろう
見なくてもよかったニュースいなくてもよかった回転寿司屋のPepper
なくてもいいものだけ詰めてたクッキーの缶にわたしを入れて抱いてる
コンビニのひかりがあんまり遠いので家出する気もなくして半夜
屋根裏のハクビシンから取り立てたい家賃代わりの幸福とかを
公園の野菜のオブジェもまだあるし生きたり死んだりしてみようかな
東京に住むコイビトとおなじにおいボックス煙草を置いた仏壇
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。