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大海明日香
2024年11月24日 19:52
しなやかな繊維となまぬるい水、それから君とか、わたしの身体に触れるものだけが光っていて、あとの全部が敵だということにすると、この部屋には星座が浮かぶ。宇宙に比喩すれば何を怖がっても憎んでもよくて、だから宇宙には行きたくない、だけど宇宙の香りだけ知りたい。 君に名前をつけられたかったなんて嘘で、わたしがすべてに名前をつけたい、そうすればいちばんかわいい名前をこの星座にあげられる、
2022年7月29日 19:28
古いコンビニエンスストアの居抜きでできたわたし、の自動ドア、きみが目の前に立っても開いたり開かなかったりする。開かない自動ドアに人ではないことを突き付けられて泣きたくなるときの気持ち、を、一生わからないでほしい、と、祈るこの指がすらっと長くなくてまた泣きたくなるの、わたしだって、わかりたくなかった。 好きなコンビニが同じじゃないことは違う星に住んでいるみたいなことで、嫌いな香水が同じ
2022年7月2日 19:28
音楽だけが増えていく音楽だけが増えていくこの部屋にも街にもわたしの腹にもあたらしい音楽だけが増えていくの宇宙は無音なんだって無音なら君も詩を欲しがるだろうか宇宙飛行士になったんだってすきだったひとに言われた日スペーススーツのまあるいあたまを撫でてあげる練習のためにスイカを買って帰った夏の似合わない部屋でスイカを抱きしめて眠った何か孵ればよかったのに帰ってきてくれれば
2022年1月5日 19:53
美しくない理由で晴れの日を好きになってしまったとき、おとなの階段ってやつ、踏み外してしにたいと思った。 晴れているから星がきれい、広がっているのが自分の内側か外側か分かんなくなりそうねって、宇宙に共感してほしい。目の前に見えるだけでもなんじゅう、なんびゃくの星があって、その奥にも、数えるのが億劫なくらい、だから、いっこくらいわたしにちょうだい、チョコレート菓子のひとつ、欲しがるみたいにいたら
2021年11月12日 19:51
彩度の低いきみのクローゼットのなかにぬいぐるみを住まわせたい、そこそこ大きな魚がいい、できれば鮮やかな色の。わたしは暗いところと狭いところが苦手だったけれど、きみと眠る夜だけはよかった、遠い星のひとつもない宇宙、いったことのない宇宙みたいな暗闇、トイレにのそのそと起き出してベッドの角に脚がぶつかったとき、はじめて、自分がもう星のこどもでないことを知るくらいの、暗闇。餌をやりすぎた魚が日に日に
2021年1月26日 21:16
夜にならないとわからないことがあって、だから太陽は後悔したことがないらしい。惑星を10個、てきとうに拾ってくる。陽当りのよい不自由ない部屋(彼らにはすこしせまい)を与えて、日がな一日うたって暮らすように言った、きみたちのとこの住人はうちの星でうまくやってるので気にしないでのんびりしてね、と、笑いかけるのもわすれなかった、なのに、彼らのうちはんぶんくらいは、夜になると机に向かうようになった。