エイリアン・コンプレックス
古いコンビニエンスストアの居抜きでできたわたし、の自動ドア、きみが目の前に立っても開いたり開かなかったりする。
開かない自動ドアに人ではないことを突き付けられて泣きたくなるときの気持ち、を、一生わからないでほしい、と、祈るこの指がすらっと長くなくてまた泣きたくなるの、わたしだって、わかりたくなかった。
好きなコンビニが同じじゃないことは違う星に住んでいるみたいなことで、嫌いな香水が同じじゃないことは別々のロケットで移動するみたいなことで、
同じ本を読んだことがないわたしたちにはテレパシーが使えなくて、だから良かった。
UFOを見た日、攫われるかも、攫われたいかもなんて夢にも思わなくて、食べ物のかたちの雲を見たときとおなじ速度で指をさして小さく笑って、
なんでもなかったみたいに、おろした手で暑いねってシャツを握って、
宇宙人かもしれないって、思いながら生きようね、
お互いの星のこと、手を繋ぎながら教えあおうね。
熱帯夜、UFOより光るコンビニが、きみのために開く。
生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。