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遺伝する行動パターン
人の行動を、遺伝的なプログラムから見る研究があります。
遺伝が行動を決めている?
そうだとすると、同じ行動をとる傾向が、家族内に見られるということが考えられますね。
では、どんな行動を遺伝と見るのか、探ってみたいと思います。
好奇心旺盛、人見知りは遺伝?
生まれ持つ気質の研究は長い歴史がありますが、現在使われている有名な気質分類は主に2つ。
クロニンジャー(ワシントン大学教授)博士のパーソナリティ理論と、コスタのビッグファイブです。
多分、今はビッグファイブが主流になっているのではと思いますが、講座で気質を取り上げる時は、クロニンジャー博士の理論がわかりやすいのでよく解説に使っています。
クロニンジャー博士の研究では、遺伝的に決まっている可能性の高い行動を4つあげています。
簡単に説明してみますね。
【新奇性追求行動】
新しいものに出会うと、すぐに手を出したり、確かめたがる傾向のことをいい、車に例えるとアクセルに当たります。
生きものが進化の過程で、動くことができるようになるために、最初に獲得した性質なのではないかといわれています。
【損害回避行動】
新しいものに出会うと、警戒して、回避したがる傾向のことをいい、車に例えるとブレーキに当たります。
動くことができるようになった生きものが、今度は止まれるようにする必要があったために手に入れた性質だといわれています。
【報酬応答行動】
人に興味・関心を持つ強さのことで、社会性と近い意味合いがあります。
高ければ褒められるとやる気が倍増しますし、人がどう思っているのかが気になります。人と一緒にいることを好む人は、この傾向が高いといわれています。
【固執行動】
粘りの尺度のようなもので、一つのことをずっと続けられるかどうかに関わる性質を指します。
固執が強すぎると、完璧主義になりますし、逆に弱すぎると、いい加減な傾向が強くなります。
ビックファイブでは、5つの行動指標をあげています。
【神経質】
ネガティブなこと(不安になる出来事、試験やトラブル、プレッシャーなど)に、どう反応するか、その感度を指します。
神経質傾向が高いと、人の感情に敏感で、洞察力に長け、独特な発想力を持ち、繊細でよく気を配ります。一方で、何かあるとすぐに動揺しやすい傾向も持ちます。
神経質傾向が低いと、動じず、冷静で、温和。メンタルの強い人だねとよくいわれるタイプになります。
【外向性】
人間関係や新しい出来事に対して、ポジティブに向き合うかどうかの傾向を指します。外向性が高いと、悪いことよりも良いことをイメージしやすく、活動的で、野心家。饒舌でコミュニケーション力に長けるといわれます。
外向性が低いと、人見知りの傾向があり、冷静で安定を求め、大人数の場では寡黙になります。
【開放性】
思考や想像力の広がり、芸術的な感受性を指します。新しい世界に関心を持って、どれくらい積極的に行動できるか、という探究心の要素も含んできます。
開放性が高いと、芸術性に優れ、そして知性が溢れ、どんどん改革を推し進めていきます。
開放性が低いと、形式的な思考に優れるようになり、問題解決能力に優れて保守的な性質が現れるようになります。
【協調性】
共感能力やチームワークの力を指します。
協調性とは、周囲の人たちをどれくらい思いやれるかであり、周りに歩調を合わせられるかを指します。協調性が高いと共感力に優れ、最後までよく面倒をみる好人物として皆から信頼されます。
協調性が低いと、理詰めで物事を判断し、素早い決断力を持つものの、相手の感情に寄り添うことを苦手とします。
【誠実さ】
勤勉さともいい、自己コントロールの能力の高さを指します。
目の前の出来事や目標に対して、どう対応していくか、それはつまり、やりたい!言いたい!反応したい!という衝動を自己コントロールさせていく力を持つかを指します。
誠実さが高いと、目の前の問題解決に向けて、自分の感情をコントロールしながら誠実に取り組み、結果を出そうとします。
誠実さが低いと、行動力は高いものの、衝動的で周囲を振り回したり、傷つけることが多くなります。
どれか一つじゃない、強弱のグラデーション
こうして区分されると、確かにわかりやすいと思う一方で、血液型や星占いのように、どれか一つのタイプに当てはめようとしてしまうかもしれませんね。
でも、それは違います。
どの気質も、一人の人の中に全て持ち合わせており、それぞれの量質の強弱が、さまざまなグラデーションを作り出していると考えるのが正しいです。
例えば、クロニンジャー博士の分類であてはめてみますね。
<例1>
新奇性 ↑
損害回避 ↓
報酬応答 ↓
回避 ↑
このようなタイプの人を想像してみてください。
好奇心が旺盛で、衝動的で、恐怖心はなく、人にどう思われようと気にしない一匹狼で、関心のあることに執拗にこだわる面を持つタイプだと想像できます。
大切なのは、そんな気質を持ちながら、どんな環境の中で育つか、どんな関わりを積むかになります。
仮に、養育態度が否定的で、傷つくことの多い環境に育ったとしましょう。
恐らく心は荒み、人を傷つけても何とも思わないという傾向を強めるかもしれません。
ところが、反対に受容的で肯定的に育てられたらどうでしょう。人に褒められることを原動力とするわけではないので、人の評価によって邪魔されることなく、冒険家や研究者として、挑み続けることで力を発揮するかもしれません。
自分のストーリーを語る
結局のところ、遺伝コードでわかる行動パターンとは、刺激に対する反応性を指すようです。
何を持って生まれて来たかよりも、どんな環境に置かれ、どんな刺激を、どれくらい経験したかが重要なのです。
そしてもっというならば、子どもは環境を選んで生まれて来ることはできません。
だとしたら、子どもが育つ環境を整える”知恵を届ける人”が必要です。
そして、子どもを育てる親自身が”自分の作られ方を点検すること”が大切です。
自分の育った環境を直視し、どんなストーリーを語っていくのか。
それによって、行動の現れ方は驚くほど違ってくるからです。
私は、どんな環境の下で育とうとも、全てが輝きになる。
他にはない、あなただけの生きる武器になる!ということを、伝えていきたいのです。
このあたりは、自分でもそこそこの知恵を持っていると思っていますので、今後、セミナーや動画を使って発信していきますね。
皆さんに、たくさんの自信と勇気がもたらされますように。
鶯千恭子(おうち きょうこ)
<お知らせ>
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