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大切なものをぎゅっと|コマ撮りアニメ「こまねこ」

お人形が、ある日ほんとうに動き出したら…
なんて考えていた子どもの頃。

それが現実になったように感じる
コマ撮りアニメの世界。
今もずっと、惹かれます。


最初のコマ撮りアニメは、ひらけ!ポンキッキで見た「プロンスターズ」かも(←リンクは動画)。
中学生では「ピングー」に夢中。そして「ムーミン」(←公式動画が見つからず ビョークの歌入り版)。岸田今日子さんの語りが味わい深く影のある雰囲気だった。
大学生のときはチェブラーシカがどうしても見たくて、仙台から出て渋谷ユーロスペースに行ったなあ。


日本のキャラクターなら「どーもくん」は外せない。特に うさじいが好き(写真右下)。

2023年ドワーフ20周年展にて


ドワーフスタジオは数々のコマ撮りアニメ作品を手掛けています。

キウイ君たちに
コジコジだよ




スタジオのオリジナル作品が「こまねこ」。

昨年、展示で見た
このシーンが新作に


2003年に誕生した、ねこの女の子 こまねこ。11年ぶりに新作が公開されています。

終了したと思っていたら関東のミニシアターMorcモーク阿佐ヶ谷で上映中。これは行かねばと足を運びました。
こちらでユーリノルシュテイン監督の「霧の中のはりねずみ」など含めた作品が上映されていましたが、今回は こまちゃんを。



過去の3作品も同時上映。
「はじめのいっぽ」、こまちゃんがコマ撮りをする姿にぐっと来る。

目を瞑って ふっと目を開き
創作の世界に入っていく表情がいい。

「こまとラジボー」は、初めましてから仲良くなるまでってこんな感じだったかもと思い出し、二人の創造力にワクワク。

私が好きなのは「ほんとうのともだち」
話を知ってたのに、泣きました。
いちばん後ろの席でよかった。

そして新作「こまねこの海外りょこう」
監督でアニメーション作家の合田経朗ごうだつねおさんはインタビューでこう仰っています。

「新作のテーマは『成長』としました。
(略)
ちょうどウクライナ侵攻があったときで、ニュース映像で父親を国に残して母親と子どもが国外に避難するのを見て。母親がありったけの荷物を持っている横で、子どもは手にぬいぐるみをギュッと持っていたんです。この子にとってのぬいぐるみは、命綱というか、食べものや着るものと同じぐらい大事なものなんだと。家を出るとき、ぬいぐるみをパッとつかんだときの気持ちはどんなだったのかなと考えながら、自分のこまねこへの思いと混ざり合った結果、この話になりました」

MOE 2024年11月号


こまちゃんが大事にしているお人形の「ももいろ」と「はいいろ」。海外旅行には一緒に行けないんだよと言われたときのショックは、大人が思うよりずっと深かったはず。

彼女の心の変化に加え、お人形の心情も生き生きと描かれていて、子どもだったときのキラキラを沢山見せてもらえました。

何より、愛おしかった。

劇場に居た こまちゃん


世界の子どもたちが
好きなものをただ素直に抱きしめられる
そんな日が来ることを切に願います。



* * *


大切なものを
ぎゅっとする
あの頃の気持ちは

無くなった訳ではなく
知りすぎただけ。

小さくても
人から見たら
がらくたでも。

宝物は
ずっとずっと
ここに。




Morc阿佐ヶ谷
2024年12/20(金)~2025年1/2(木)
https://www.morc-asagaya.com/
その他全国劇場にて公開中


※見出し画像は、公式イラストをもとに色画用紙で作りました




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