
『キャラ創作のための質問集』がみつからなかったので、自分で100問つくってみた。【前半50問無料】
※毎度のごとく前置きが長くなっております。「質問以外、興味ねえんだけど……」という方は、目次から『100の質問』の項へお飛びください。
はじめに
noteで有料記事を書く、ということを考え始めたとき、僕の前には二つの道が伸びていました。
ひとつは小説そのものを売る、という道。
これは言ってみれば、王道であり、本職、誰もが『小説家』という生業を想像するうえで、はじめに思い浮かぶ収益のたてかたではないでしょうか。
もう一つの道は、それに比べると、やはり脇道的で副業的。
ですがここnoteにおいては、あるいは必要とする人もいるのではないかと思いました。
それは、小説の書き方を売る、という道です。
取り扱い説明
根拠として提示できるものとしては、僕がいくつか長編小説を完成させていることと、去年書いたものが10万字を超えたことなどが挙げられます。
夢中で書き進め、試行錯誤し、気づけば10万字超え。
そのときどきでいろんなやり方を試し、いくつかは今も上手くいっている。
今回はそんな、小説の書き方以外の試行錯誤を放りだしてきた僕という人間が積み上げてきたもののひとつを売り出すことにしました。
ぶっちゃけてしまうと、僕がここnoteで条件にあった有益なものを先に見つけていれば、この記事は存在しなかっただろうと思います。
題して……
『キャラ創作のための100の質問』!!
簡単に説明していきます。
まず小説に限らず、なにか文章を書きたいと思ったとき、誰がどこにいてなにをしたか、といったような情報が必要になります。
僕の日々の記録などを見ても『今日は一人で水族館に行った』だとか『昨日は一人で好きな監督の映画を観た』だとか『親戚の家に遊びに行ったけれど、誰もいなかった』だとか……。
なんだかさみしい気がするのはひとまず置いておいて、これはすべて『自分』という最も身近な『キャラクター』のことです。
『キャラクター』が何かをしたり、ものを考えたりしたことで書くものが生まれます。ここに議論の余地はないのではないでしょうか。
つまり、文に『キャラクター』は欠かせない。
そもそも、言葉は誰かが使うものですから。
逆に言えば『キャラクター』さえいれば何かを書くことはできるということです。
ここで『キャラ作り』という工程が必要になってくる。
他にもストーリーや舞台設定、タイトルやボリューム感など色々決めなくてはいけないものがありますが『キャラ作り』に先行するものはない。
その足がかりとしての『100の質問』というわけです。
無論、100もの問いにすべて答えなくてはいけないわけではありませんし、何か書きたいときにアイデア出しとして、ご自身に向けていただくのも構いません。
筆が止まったときにいくつかやってみる、というだけでもけっこう効果的だと思います。
◇
自分自身が『キャラクター』になりきって、『100の質問』に答えていくことで、自分の表現したいものの像を掴む。
もちろん、わざわざそんな『キャラ作り』という工程を挟まずとも、文を書きながら、主人公やそれを取り巻く人物像を描いていくことは可能です。
事実、村上春樹さんなどは長編でそういう書き方をしているよう。
しかしそれはあくまで、作家としての発展型、最終形態、メガシンカ、と言ってもいいでしょう。
プロの作家でもなければ、ある程度は作品内の『キャラクター』たちの像を描いてから書き始めることが得策ではあります。
「いやいや、手探りで書いていくのが楽しいんでしょうがっ」
という方もおられることでしょう。
しかし手探りで書くことと、この『100の質問』に答えることは、決して矛盾するものではありません。
心理テストに似ています。
『あなたは猫を飼っている。何匹で、いま部屋のどこにいる?』
このような問いかけに答えたからと言って、自分自身に興味をなくす人はいないのではないのでしょうか。
むしろ「この問いで何が分かるんだ?」という興味関心が生まれる。
そして、その興味関心を表現に向ける。
猫はかわいい。
それこそが、この『100の質問』の大目的なのです。
サンプル:食べ物に関する10の質問
1.好きな食べ物はあるか。
2.その食べ物を最もおいしく食べられるのはいつ、どういうときか。
3.そのシチュエーションには誰かが一緒にいるか、あるいは自分一人か。
4.もしも目の前に「その食べ物、嫌い」と言う人がいるとき、何を言うか。あるいは何を言わないか。
5.逆に自分が嫌いな食べ物は?
6.世界にその嫌いな食べ物しかなくなったとき、どう振る舞う?
7.世界一の料理人に食事を作ってもらえることに。好きな調味料をひとつオーダーできるという。なにを選ぶ?
8.最も自分と馴染み深いと思う食べ物はなにか。
9.外食でよく行くお店は、何料理?
10.母の味、と言われて思い浮かぶ料理はなにか。
以上、『食べ物に関する10の質問』というテーマで、サンプルを提示しました。
『100の質問』も、概ねこのようなものだと思っていただいて構いません。
またこのサンプルは『100の質問』のうちには入っていませんので、この記事内の質問は110あるということになります。
◇
ここで僕の性格の話を、少しさせてください。
実は僕という人間はうわべだけの挨拶や社交辞令がすごく苦手です。
例えば新年がきて「明けましておめでとうございます」「今年もよろしくお願いします」なんか言うにしても、やりとりがそれだけで終わってしまうことに、どうも納得いかない。
挨拶や社交辞令そのものが苦手なのではなく、それらを免罪符のようにして、踏み込まなくてもいいよねという空気に忌避感があるのです。
だから年賀状とか嫌い。
出したことありません。
それよか、手紙書きたいし、通話したいし、可能なら会いに行く。
僕は感覚としても、理性としても、他人への興味を絶やさない人間でありたいのです。
というわけでサンプルの通り、この『100の質問』は「好きな食べ物は?」などの平凡な質問を深めていくという形をとって展開していきます。
注意点
前置きはまだ続きますが、実質はじめての有料記事なので丁寧すぎるくらいでいいよね、と思っています。ご容赦ください。
最後にいくつか注意点を。
まずは、この『100の質問』に答えるまえに、ご自身でキャラクターに質問をしてみてあげてくださいというお願いです。
僕は基本的には自分が作るものには、自分で手間をかけたほうがいいというスタンスで机に向かっています。
なので100と言わず、10くらいはオリジナルの質問を向けてあげると、作者としての満足とか手応えとか責任とか愛着とか、そういうものがまるで違うという主張をしたい。
◇
とはいえ、『100の質問』は自分自身でキャラクターに向けた質問とは、少し違う意味合いをもって立ち上がることもあります。
大きく分けて二つの点で。
それは僕、乙川アヤトという他者が質問しているという前提と、回答が捨てやすいという点です。
どういうことか。
第一に他者による質問というのは、意外性があります。
他人と話していて「え、気になるとこ、そこっ!?」と思った経験がある方は多いはず。
その意外性という点において、少なくとも乙川アヤトという知的変態キャラクターとの擦り合せができます。
6.世界にその嫌いな食べ物しかなくなったとき、どう振る舞う?
サンプルにあるこういう変な型通りでない質問に答えるとき、あなたのキャラクターは他者との関係におかれ、そこで深化するはずです。
「いや、餓死するだろ、普通」
「え、頑張って慣れる」
「美味しい食べ方を模索します、かね」
こんな風に普通に答えてもいいですし。
「なんだそのオレだけ最悪な世界はっ!」
「……答えたくない」
みたいにツッコミや黙秘、とするのも手です。
この単純な答えだけでも、なんだかキャラクターの哲学や価値観みたいなものが見えてくると思いませんか。
また質問を考えているリソースが浮くので、語尾や口調や表情といったディティールにもこだわることができるのではないか、と思います。
第二に回答が捨てやすいという点ですが、正直言ってこの『100の質問』に答えていくというやり方は、お世辞にも合理的とは言えません。
ひとつの質問に、仮に10文字くらいで答えるとしても『100の質問』で1000文字。
noteで1000文字も書けば、それこそちょっとした短編くらいにはなる。
この質問群は、むしろそこからが創作の始まりだと主張するわけなので、この1000字は言ってみれば本文には書かない、使い捨てです。
僕はつねづね、小説を書くということ、ひいては創作することはそのくらいの非合理性が必要だと疑ってやまないのですが、実際に捨てるとなるとこれがなかなか難しい。
しかし、これは他人の助けを借りた1000字。
純粋に自分の創作物とは言えない。
なので使い捨てにすることも、比較的簡単なのではないか、という目論見があるのです。
あなたとあなたのキャラクターが愛について熱心に何かを語るとき、あなたとあなたのキャラクターはトイレ掃除について語ることを忘れているかもしれない。
この『100の質問』は非合理で雑多な情報を介することで、キャラクターとは圧倒的な細部によって立ち上がってくるものだということを思い出させてくれるかもしれません。
それでは、いよいよ質問に移ります。
僕の創作に費やした歳月が、あなたの創作活動の一助になれることを願ってやみません。
100の質問
名前について(1~8)
1.自分の名前について、他人からなにかを言及されたことはあるか。
2.その名前には、どんな想いが込められている?
3.現在の自分の在り方は、その想いに即しているか。
4.自身はその名前が好きか。
5.その名前をつけた人物に、なにか言いたいことはあるか。
6.呼ばれるならば、どんなニックネームがいい?
7.自分の子供に名前をつけるなら、どんなものにするか。
8.もしも自分の名前を一度だけ変えてくださいと言われたら、どんな名前にするか。
性別について(9~15)
9.「自分の性別らしくある」ために、気をつけていることは?
10.「男らしくない」だとか「女らしくない」といった、自分の性別に対する違和感を覚えたことは?
11.一週間だけ性別を変えられるとしたら、変えてみたいか。
12.異性になったら、一番はじめにすることは?
13.性欲は強いか、弱いか。
14.異性に対して、心がけている振る舞いはあるか。
15.異性と比べ、同性はどんな風にみえる?
年齢について(16~20)
16.自分より年上の相手には、どういう印象を覚えるか。
17.逆に年下の相手には、どういう印象を覚えるか。
18.世界にどちらかの人間しかいなくなるとしたら、どちらを選ぶか。
19.自分の年齢が固定されるとしたら、いくつに設定するか。
20.自分が子どもの頃から変わっていないと思う部分は?
思い出について(21~26)
21.思い出せるうちで、最も古い記憶はなに?
22.家族との最も古い思い出は?
23.家族を除き、長い時間をともにすごした人物はいるか。
24.小学生のときに習ったことで、思い出せるものは?
25.自分の脳に思い出が一つしか保存できないとしたら、どれを選ぶか。
26.逆に一つ消せるとしたら、どれか。
働くこと(27~35)
27.自分の職と言えるものは?
28.今の仕事内容に満足しているか。
29.給料、報酬に不満は?
30.休みは足りていると感じるか。
31.自分でどこかの曜日を休みにできるとしたらいつで、それはどうしてか。
32.一日だけ誰かと仕事を取り替えられるとしたら、どんなことをしてみたいか。
33.働くなら個人がいいか、組織がいいか。
34.十年後も、今と変わらない働き方をしていたい?
35.その職業を選んだ動機は、内的なものか、外的なものか。
好き嫌い(36~41)
36.自分が人を好きになるとき、その人のどういう部分に惹かれるか。
37.その人にどんな振る舞いをする?
38.逆に今までに嫌いになった人はいたか。
39.その人を嫌うことになった原因は?
40.嫌いな人にはどう振る舞ったか、あるいは振る舞わなかったか。
41.理想の人物が目の前に現れ、その人はひとつだけあなたの願いを叶えてくれる。なにを願う?
コミュニケーション(42~50)
42.口癖はあるか。
43.その言葉が口癖になった由来を思い出すことができるか。
44.他人の口癖で記憶に残っているものは?
45.口癖にしたい、と思っている言葉は?
46.一生言わないことができる言葉を選ぶとすれば、なに?
47.他人から一生聞かないことができるとすれば、どれを選ぶか。
48.見知らぬ人と小部屋の中で二人。どんな態度をとるか。
49.目の前に赤ん坊がいて、あなたは話しかけている。話題はなに?
50.見知らぬ男女が集まる席で、王様ゲームがはじまり、あなたは最初に王様を引いた。なにをさせる?
ここから先は
¥ 100
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?