【読書感想文】白いしるし/西加奈子
私は西加奈子さんの「さくら」を読んでから、西加奈子恐怖症というかトラウマで、再び手に取ろうなんて気持ちは全く芽生えなかったのですが、先日、娘が幼稚園から誕生日プレゼントとして貰った図書カードでつい買ってしまった。
最初こそ「西加奈子でも恋愛小説ならいけるんじゃないか」と思ったけど、これは恋愛小説っていうより失恋小説だし、どこかもう「さくら」に通ずるズドーーーンと気分が落ちるような展開もあったりしたのですが、「さくら」ほどトラウマにならず、そして間違いなく「間島昭史」は私内恋愛小説史上一番かっこよかった。
恋愛小説に出てくる女たちは恋をすると、もしくは失恋すると、翌日仕事を休み、翌々日から無断欠勤、挙げ句の果てに仕事を辞める。
そういうの、すごくいいなと思って。
小説じゃないとそんな行動できないし、そのくらい人生を棒に振れたらいいな、そのくらい恋愛のためだけに生きたい。
失恋しても仕事を休めない人のためにこういう小説はあるんだと思う。
あとがきに、「結婚は人生においてゴールではないけど男修行としては(一時的にかもしれないけど)ゴール」ということが書かれてて、そっか、結婚すると出逢って恋に落ちるような瞬間もないし、大失恋して何も喉を通らなくて5キロ痩せる、みたいなことも原則的にはないのか、と。
失恋って恋愛の醍醐味というか、あの辛さは人生で絶対に味わっておいた方がいいというか、叶わない恋こそ恋愛、って思ってしまう。
結婚したが最後、失恋って離婚か不倫発覚までないってこと・・・?
だから小説くらいは、好きな人に恋人がいた、みたいな展開でいちいち「あああああああああまじか・・・」と主人公と一緒になって大失恋したい。
あの、あああああああー!!みたいな崩れるような失望感は、なんかドMかもしれないけどたまに味わいたくなる。
私は好かれる話よりも、振られる話の方が好きだ。