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腐ったものを食べると どうなるの?
人が腐ったものを食べてしまった場合どうなるのでしょうか?
食中毒の分類に「腐敗中毒」という項目はありません
厚労省が毎年の食中毒事件について報告を出していますが、病因物質に腐敗中毒という項目はありません。現実には、腐敗どころか新鮮な鶏肉を生で食べても起きています。
一方、納豆や乳酸菌飲料みたいに、人に役立つ菌が増えているものを食べても、食中毒にはなりませんよね。しかしながら、腐ったものを食べても良いという訳ではないようです。
食中毒は気づかずに食べて起きている
私は過去に多くの食中毒患者に面接調査を行いました。その中で気づいたことは、食中毒に罹った人に聞いてみても、「食べたものがおかしかった。」と言う方はまずありませんでした。
食中毒菌は、人が腐敗に気づく前に、食品中で食中毒を起こすに十分な量まで増えることができるようです。
人はそもそも、腐ったものは口にしないし、食中毒を起こす原因となるものを含まないものは、間違って食べても食中毒にはかからないようです。
そのかわり、食中毒を起こす菌やウイルス、寄生虫を含んでいた場合は食中毒になる可能性が高いことが分かります。
コロナでもそうですが、中には、なぜか症状が出ない方がおいでだったりもします。
食中毒を起こす菌やウイルスは、それらを10個~100個程度の少量を食べただけで症状がでる腸管出血性大腸菌(O157など)やカンピロバクターなどと、食品中で100万個以上に増えないと食中毒を起こしにくい黄色ブドウ球菌やセレウス菌などがあります。
「腐敗中毒」に近いヒスタミン食中毒
食中毒の中で腐敗中毒に近いのは、サバなどの赤身の魚にヒスタミン産生菌が増えておこる「ヒスタミン食中毒」があります。
これは、時折、保育園などのヒスタミンに対する感受性の強い園児への給食で発生をみています。
ヒスタミン食中毒とは
▼ ヒスタミンは、食品中に含まれるヒスチジン(タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一種)にヒスタミン産生菌(例、Morganella morganii)の酵素が作用し、ヒスタミンに変換されることにより生成します。
▼ そのため、ヒスチジンが多く含まれる食品を常温に放置する等の不適切な管理をすることで、食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。
▼ ヒスタミンは熱に安定であり、また調理加工工程で除去できないため、一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。
もっと詳しくは ↓
「腐ったものを食べても良いという訳ではない」(今日の疑問)
「だしパックの煮すぎが原因?」と報道されたきつねうどんによるヒスタミン食中毒(今日の疑問 2020/11/18)