#004 飲食店は飲食物を売ることが目的ではない。〜業界内で技術を持たない者の思い出マーケティング〜
というわけで今回は「飲食店は飲食物を売ることが目的ではない。〜業界内で技術を持たない者の生き残り戦略〜」というテーマでお話ししていきます。
僕が勤めているカフェチェーンには、技術力という面においては競争力がありません。
僕が働いているローカルカフェチェーンカフェは、7店舗もあるのに料理人もパティシエもいないんです。
#バリスタはいます
じゃあ商品開発は誰がやっているんだ?という話になりますが、素人が作っております。
#バリスタが作ります
僕は今ベーカリーの責任者をやっており、パンの商品開発も行っていますが、僕はパン職人ではありません。ここもまた素人がパンの商品開発を行っております。
ある程度飲食業界で経験を重ねた人たちが作っているので、変な商品は出てきませんし、ちゃんと美味しいものを作ることができます。
ただそれでも料理人やパティシエが作る商品に比べると天と地ほどの差があります。
なので調理の技術力という点においては競争力はありません。
しかも最近、技術力のある料理人やパティシエがカフェを開業しているのをちらほら見かけます。
どう頑張っても商品力じゃ勝てねえな、、というお店さんがわんさか増えているんです。
うちよりも良い素材を使って美味しい料理を出しているところは多いでしょう。
しかし
品質が高けりゃいいってもんじゃない。👊
技術力がないからといって業界で勝てないわけではない
調理の部門に技術者がいない…じゃあ業界で勝てないんじゃないの?と思っちゃいがちですが、そんなこともないんです。
うちの会社は創業20年以上で、十分に戦えています。
周りでは閉店するカフェも多い中、群雄割拠のカフェ業界で料理人もパティシエもいないのにどうやって生き残っているのか?
技術を持つことは大事ですし、あるに越したことはないですが、技術よりも大事なものがあると思っています。
その大事なものとは『どの物差しを持って運営を行なっていくか』です。
飲食業界と一括りに言っても、お店ごとにコンセプトや強みや売り方は違います。
一流の技術で売っている店もあれば、商品開発力で売っているお店もあります。
そんな中僕は、良い意味で「飲食物を脇役にした運営」を心がけています。
#美味しくないものを出すという意味ではないですよ
#美味しいものをちゃんと出してます
#素人なりに素材にもこだわる
飲食業は「お客様喜ばせ業」であり「思い出作り業」
僕はかねがね「飲食店はお客様喜ばせ業」であり、飲食物はお客様を喜ばせるためのツールでしかないと思っていました。そして、喜ばせたその先に目指すものとは…
それは、「お客様の思い出を作ること」
高級なレストランでのお食事も楽しいし、この上ない美食を味わうことができ、かけがえのない体験です。
しかし僕の心の中に強く残っている飲食体験は幼い頃に母によく連れて行ってもらった、狭くて汚い高架下のお好み焼き屋さんだったり、どこにでもある大衆居酒屋で仲良しと飲んだ時の思い出だったりします。
皆さんにもそんな思い出があるんじゃないでしょうか?
この思い出は死ぬ時まで持って行くんだろうなと考えると、お客様の心に残る思い出をどれだけ作ってあげられるかが大切なのではなかろうかと思うんです。
みなさんの飲食店での大切な思い出も、必ずしも技術力がある飲食店での思い出というわけではないと思います。
幼い頃に両親とよく通っていた飲食店の思い出だったり、何かのタイミングで友人知人と飲んで盛り上がった時の思い出だったり、仲が良い店員さんがいるお店の思い出だったり…
どうでしょう?技術面ではないところの思い出が強く残っているんじゃないでしょうか?
僕はその思い出にアプローチできる運営ができればと思っています。
#思い出マーケティング
飲食店はお客様に対してどんな「場所」を提供するかが大事
飲食店は場所です。大事なのは、どんな場所なのか?というところ。
そのために家族連れで来店しやすいような場所にしたり、お客様にいろんな楽しさや優しさを伝えられる場所にしたり、みんなで集まることができる場所にすることが大事だと思っています。
#あくまで僕の考えです
ただ、僕自身バリスタをやっており、15年ほど前は必死に努力し福岡の大会で1番になったりして(出した成果は小さいですが)、技術を極めることの大切さもわかっているつもりです。むしろ自分をブランド化してその技術で売っていく気満々でした。
しかし自分が戦うのはこの世界線ではないなと気づき、広く学ぶことを決め、現在は複数店舗を管理するカフェのディレクターという役職でやらせてもらっています。
いろんな世界線で戦う人がいると思いますが、技術力がない僕の世界線は、どうやら『お客様が良い思い出を作ることができる場所作り』にありそうです。
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