私の仕事 – 「これまで」と「これから」⑧
⑧続けてきてよかった
ずっとずっと仕事だけをしていたわけではない。
「帰ってきたら、もう仕事なんてないよ」と言う
周りの人の声には耳を傾けず、
半年ばかり仕事をお休みして、短期留学もしたこともあった。
もっと話せる自分になりたかったから。
でも、海外に飛び出しても、コンプレックスには悩まされた。
クラスメートや先生から「全く問題ない」と言われても、
自分では「話せていない」と思い込んで、
敢えて下のクラスに移ったりもした。
完璧を求めすぎていたのが原因だと思う。
短期でも留学すれば気持ちが変わると思っていたけれど、
残念ながら、そうはならなかった。
「ちゃんと話せない」という気持ちが拭えなかった。
それから数年後、大学時代にホームステイしていたホストファーザーから
私の両親を連れておいで、という誘いを受ける。
いつかは、という話はしていたが、
両親や自分が自由に動けるうちに実現しようと言ってくれたのだ。
その時、私は派遣先から近々契約が終了となるかもという話を聞いていた。
それでも、「今しかない」という思いに駆られた。
貯金通帳の残高も気にせず、とにかくみんなの心に残る旅にしようと
ホストファーザーと連絡を取りながら、計画を立てて飛び立った。
帰ってきた後のことは考えずに。
この旅は、今振り返っても、
「自分の人生の中に、あの旅があって本当によかった」と心から思える。
私の家族とホストファミリーが、まるでずっと前から友達だったかのように
旅を楽しんだり、夜遅くまで話をしたり、本当に素晴らしい時間だった。
そして、完全ではないかもしれないが、
私が自分の思っていることをきちんと伝えられるようになっていたことが
何よりもうれしくて仕方がなかった。
それはホストファーザーも一緒だったようで、
立ち寄るところ、立ち寄るところで、
私がいかに話せるようになったかを自慢していた。
その姿を見た時、
「英語を続けてきてよかった」とようやく思うことができた。
(次は2022.7.10)