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僕が生まれる前から大工だった、棟梁のこと。

スマートフォンスタンドができた。

わざわ座「大工の手」の名物で、コロナ禍に小泉誠さんが、座衆と住まい手の為に、フリーでデザインしてくれたものだ。

栗の木で🌰沢田さんがこさえた。
沢田は、大塚工務店の元棟梁だ。

「ヨッ、大棟梁」

70歳を迎え、社員大工としては、退任。
改めて、一兵卒として、腕がなまらない程度に
今日も、出てきてくれている。

彼は、四代目が小さい頃から、大工として活躍。
僕は、自宅の改装で腕を奮う沢田さんの手元を、
いついつまでも、飽きることなく
眺めていた。

そんな元棟梁が、選んだ材は栗の端材。
放っておけば、炊きもんとして、
薪ストーブの🔥に変わっただろう。

火中の栗としても、生きながらえた
感謝の気持ちで、いっぱいかもしれない。

尾山製材の蜜蝋クリームを塗ったそれは、
まるで民芸品のようで、

河井寛次郎記念館にあったとしても、
遜色ない出来なのでは、と思う。

きれいとか、整うとかという指標ではなくて、
ベテランのそれは、縄文的で計り知れない。

ワイルドだろう⁉︎
例えるなら、そんなところだ。

長年、店を支えてくれた大棟梁の手仕事の上に、
iPhoneを置いて、インスタLIVEをする。

手の物語について、くどく語りがちな
僕がいるのは、そういった理由であるからして。

先人達の礎の上に、僕らは生きている。
創業100年を迎えて、その歴史の中に、
ながらえている自らを、想う。

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