やっくる(otrk) @創作垢フォロバ100✨
モノに命が宿る街、小樽。 便利屋を始めた尊(たける)が、旧寿原邸の付喪神であるスハラやその仲間と一緒に日常の困りごとを解決していく。 平穏な日常を送る中で、付喪神たちの頼み事に巻き込まれていく彼の日々は、次第に不思議な展開を迎えていく。 付喪神と人間が織り成す、心温まるちょっと不思議な物語。
水天宮の狛犬、スイとテンが描く、可愛くほっこりとした日々の出来事🎵
―――つけられている。 尊がその気配に気づいたのは、スハラの家を出た直後だった。 最初はただ同じ方向に行くだけかと思っていたけれど、尊が大通りを逸れて横道に入ったり、不自然なところで立ち止まってみると、その足音も同じように曲がったり、立ち止まったりした。 ―――― 一体誰が。 考えてみても、最近の依頼は、買い物代行とか草むしりとか平和なものが多かったし、何か事件に巻き込まれたような記憶もない。ただ、自分の知らないところで恨まれたというならどうしようもないが。
水天宮の狛犬、スイとテンが描く、可愛くほっこりとした日々の出来事🎵 小樽の街を散歩するのが好きな二匹はいつもどこにいってるのかな? あ、絵日記帳が置きっぱなし! ……ちょっとだけ覗き見しちゃいましょう👀 「「ただいま〜!」」 スイとテンが散歩から帰ってきた! 今日はここまで。 笑顔な二匹、今日も良いことあったのかな?
それは雪の降る寒さの厳しい夜のことでした。 一人の青年が、仕事を終えた帰り道を急いでいると、薄暗い路地に子供が立っているのを見つけました。 ―――こんな時間にどうしたんだろう。 迷子なのか、家出なのか…。 心配した青年は、子供に声をかけました。 「きみ、どうしたの?家の人が心配してないかい?」 子供は、青年を見上げて言いました。 「…あなたに」 その手には、一冊の本が。 青年は言いました。 「その本が、どうかしたのかい?」 子供は、再び「あなた
episode 高嶺の花 「時計の恋心」 「たける~、大変だよ~」 勢いよく開けられたドアの音に驚いた尊が玄関につく前に、散り始めた紅葉を体にくっつけたテンとスイは、勢いのままに室内に上がり込み、スハラもいるだろう居間へ駆け込んだ。 「あのね、我ら、依頼持ってきたの!すごいことが分かったの!」 深刻そうな様子のテンに、スイがつけたす。 「ガラス屋さんに行ったら、依頼されたんだ。尊とスハラに相談するのが一番いいと思う」 尊とスハラは、どんな深刻な話をされる
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episode 北のウォール街のレストラン 「銀行の付喪神」 旧北海道銀行本店。 銀行特有の重厚さを持って設計された建物は、当時の北海道銀行が吸収合併されてからは、国の北海海運局として使われたあと、北海道を網羅するバス会社の本社として使われていたが、今はお洒落なレストラン―小樽バイン―として、まちの人々に親しまれている。 俺とスハラは、オルガとサワさん、ミズハ、スイ・テンを連れて、ランチタイムの小樽バインを訪れていた。 目の前には、すでに前菜として頼んだいく
episode9 囚われの君へ「泥人形を放つモノ」 次の日、スハラとオルガは、カトリック富岡教会のドアの前にいた。 尊やサワも誘ったけれど、尊はスイと、サワはテンと見回りに行ってしまった。見回りは必要だけど、今日は一緒に来てくれたほうが心強かったかもしれない。 いや、弱音は言っていられない。 オルガが教会のドアをノックする。 「リク?いる?」 返事はない。何度か繰り返すが、ドアをノックする音だけが辺りに響く。 「いないのかな?」 とりあえず入ってみ
episode8 諦めと決意「友の異変」 1週間の見回り期間が終わって、俺たちは、情報共有のために旧岩永時計店に集まった。 まず、スハラとミズハの報告から始まる。 泥人形との遭遇はあったけれど、ほかに大きな異変はなかったこと。まちの人々は不安があるようだけれど、混乱はないこと。 サワさんとテンの報告も似たようなもので、泥人形との遭遇以外に大きな混乱はないとのことだった。 それは、俺とスイも同じで、特に目立った報告はない。 「泥人形に依り代がある限り、誰か
episode7 嵐の前の静けさ「幼馴染の付喪神①」 スハラとミズハ。 建物の所在地自体とても近く、古くから親交のあった2人は、性格は真逆に見えるけど、ずっと仲が良かった。 天然でマイペースの私を、ほどよく引っ張っていくスハラ。 普段はかなりの確率でテン・スイとのセットとして見られるけれど、それは飼い主的立ち位置であって、友だちという見方をするなら、多分スハラが一番距離が近いと感じていた。 だから、今回の見回りの組み合わせを聞いたとき、スハラと一緒だということで
昭和の初めころに小樽の消防本部で飼われ、 一緒にポンプ車に乗り込み大活躍していた犬 「ぶん公」をご存知でしょうか? 今は銅像となった「ぶん公」と、 それに憧れた「水天宮の狛犬テン」のお話。 短いお話ですので、ぜひ見てみてください! 🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶🐶
にゃあ。 毎週行われる猫の集会。今日集まったのは10匹ほどだ。 その中で、ひときわ目を引く一匹の猫。特段大きいわけでもなく、小さいわけでもなく。ただ、ある種のオーラを放つ三毛柄のその猫は、金色の眼を細めてあくびをしながら、ほかの猫の報告を聞いていた。 「何だい、噂話って」 今日3番目に報告をしていたサバトラの話を突然遮って口をはさんだその金眼は、2本の尻尾をゆっくりとくゆらせながら、今、猫の間で広まっているという話について問い質した。 「龍宮閣に何か見知らぬ者が
皆さまいつもありがとうございます。 おかげさまでnoteでの小説「坂の上のつくも」が1,000 7,000ビューを超えることができました🎉 そこで、小説を読むためによりイメージしやすいように、簡単ではございますが、「坂の上のつくも」の登場人物を紹介する簡単な表を作りましたので、ぜひご覧ください!👩👩👦👦 【簡単キャラ紹介】 【簡単なあらすじ】 小説「坂の上のつくも」は、北海道小樽市を舞台にした、付喪神が当たり前に存在している世界です。 この世界では、 ①物が人
2021年2月12日にTwitterで投稿したショートストーリー。コロナ禍真っ只中に書いた、ささやかな日常を願うお話です。 ❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️ (追記) あれから2年後。日常が少しずつ戻り、雪あかりの路も通常開催となりました。 アンサーとも言えるお話を書きましたので、ご紹介いたします↓
episode5 ねじれたモノ「実害」 事件が動いたのは、3日後のことだった。 「尊!スハラ!大変!!ミズハが!!!」 見たことのない勢いで便利屋事務所に飛び込んできたスイは、砂ぼこりで茶色くなっていた。 そのただならぬ様子に、スハラがすぐに反応する。 「どうしたの?テンは一緒じゃないの?」 そう言いながら、もうすでにブーツを履き終えたスハラは、玄関を出ようとしていた。 俺は慌ててあとへ続く。急いだせいで、かかとをつぶしたまま履いた靴は歩きにくい。 「
人の悪意なんて、その辺に転がってるもんだろ? 誰がいつ、それにさらされるかなんてわかったもんじゃない。 今の時代、物理的な暴力なんかより、理不尽な言葉に傷つけられることのほうが、きっとたくさんある。 その傷がなかなか癒えないとしても、無理に治そうとする必要はないんじゃないかな。 ただ、その傷を認めてやる強さが君自身にあれば、それをひっくるめて君を認めてくれる人たちがきっと現れる。 だから、思うように生きてみればいいと思うんだ。 episode4 歪んだココロ「異
自分らしさって何だと思う? そんなこと考えなくても、自分は自分だし、他人は他人だ。 迷っても、悩んでも。誰かから何かを言われても、君はほかの人にはなれないし、もちろん、俺だって俺のままだ。 例え、誰かを羨むことがあっても、君自身を蔑む必要はない。 それは、自分自身に自信を、誇りを持っていいってことなんだよ。 episode3 スカイ・ハイ「ミル・マスカラス」 カトリック富岡教会。 ゴシック建築の八角堂鐘楼のある聖堂。 ステンドグラスのはめ込まれた窓は、陽の光