小料理暮らし|8.クレソンと牛肉の玉子とじ
涼しいと言うにはまだ程遠いものの、気付けば随分日が短くなり、今年は特に待ちわびた新米が少しずつ出回り始めると、やはり季節の移ろいを感じます。
おいしいごはんがやってくれば、それに合うおかずが恋しくなるもの。
お肉と相性の良いクレソンと、切り落としの牛肉とをさっと甘辛く煮てとじる玉子とじは、手早くできて味わいの満足度も高く、まだ暑さが残る時期に嬉しい一品です。
おいしいと感じるままに存分に食べ、酷暑に耐えて頑張る体をしっかりいたわり養いましょう。
クレソンと牛肉の玉子とじの材料(1〜2人前)
⒈煮汁を煮立てます。
小さめの鍋(またはフライパン)に〈煮汁〉の材料を入れて、中火にかけます。クレソンを3〜4cmに切り、卵を溶きます。
⒉具材を軽く煮て、卵でとじます。
煮汁が沸いたら、クレソンの茎と、牛肉を広げながら加えます。
再び煮立ってきたら卵の半量をまず加え、30秒ほどおいて、クレソンの葉の方を散らして残りの卵を回し入れます。蓋をして火を止め、余熱で1〜2分蒸らします。
⒊できあがりです。
最後に加えた卵が半熟状に固まったらできあがりです。お好みで粉山椒や七味唐辛子を振ると風味が増します。
notes
✓ステーキやハンバーグの付け合わせとして生で食べることが多いクレソンですが、加熱しても爽やかで風味がよく、茎まで柔らかく食べられます。
牛肉は煮るとアクが出ますが、卵でとじると目立たなくなるので、そのままで特に問題ありません。
✓卵を時間をおいて2回に分けて加えるのがポイントです。名店の親子丼のような、いきいきとした卵の黄色が美しい、なめらかな口当たりに仕上がります。卵は必ず煮汁が煮立ったところへ加えてください。温度が低いと汁と卵が混ざってしまい、上手く固まりません。
食べたそばから力がわくような牛肉の旨さに、そのコクと甘辛の汁をたっぷり含む卵が合わさり、滋養を感じるおいしさです。クレソンのピリッとほのかな辛みにお肉の後味がすっきりし、葉の濃い緑と卵の黄色の対比は目に美しく、食が進みます。
汁気のあるおかずは、夏の疲れを感じやすい秋口にも食べやすく、温かいごはんによく合います。もちろんお酒にも。
一際厳しかった夏を超え、迎える実りの秋。
まだもう少し蒸し暑さは続きそうですが、無理をせず赴くままに、おいしく健やかにお過ごしください。
それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。