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二人のためのレシピ|13.ローズマリービスコッティ

焼き上がりを待つ時間まで愉しめるのがお菓子作りの素敵なところ。イタリアの伝統的な焼き菓子「ビスコッティ」は、バターなどの油をほぼ使わず、粉と卵でしっかり焼き上げるその“硬さ”と素朴なおいしさが特徴です。かなり日持ちがするので一度作ると、おやつに、朝食に、ワインのおともにと、様々な場面で大活躍してくれます。

今回ご紹介したいのは、たっぷりのアーモンドと生のローズマリーを刻んで加えた、シンプルな中にちょっとおとなの雰囲気が漂うとっておきのレシピです。泡立てたりこねたりといった難しい工程もなく、ボウル一つで材料を混ぜるだけでできてしまうビスコッティの生地は、作りやすくておいしくて良い事ずくめ。

オーブンに入れたら、コーヒーを淹れて一休み。徐々に部屋を満たしてゆく卵生地の焼ける温かさとローズマリーの清々しい香りに癒されながら、焼き上がりを待ちましょう。

今、心にいるその人とご一緒に、ぜひどうぞ。

ローズマリービスコッティ【材料】2人分

※8cm幅、20〜24カット分
・卵…1コ
・砂糖…50g(てんさい糖を使用)
・米油(太白ごま油、サラダ油でも可)…15g(大さじ1)
・薄力粉…120g
・ベーキングパウダー…1g(小さじ1/4)
・素焼きアーモンド (食塩不使用)…60g
・生のローズマリー…2g(葉のみ、1本分)

ビスコッティは「2度焼く」という意味を持つイタリアの伝統菓子で、名前の通り一度生地を軽く焼いてから切って、再び焼き上げる作り方が特徴的。その工程により作り出される“硬さ”が持ち味の一つですが、このレシピでは少しだけ油を使って食べやすい食感に仕上げています。材料も作り方もシンプルでとても作りやすく、素朴さがおいしさのクセになる焼き菓子です。


⒈ローズマリーの葉を細かく刻みます。
ローズマリーの葉を枝から外して、できるだけ細かく刻みます。ローズマリーは葉がしっかりしていて、粗すぎると舌触りがざらつく場合がありますので、よく刻んでください。

肉料理やポテトの香り付けなどでよく使われるハーブですが、焼き菓子にもおすすめです。素朴なビスコッティに爽やかなアクセントが加わって、飽きのこないお洒落な風味に仕上がりますよ。

もうオーブンの予熱を始めておきましょう。(180℃目安)

⒉生地を混ぜます。
ボウルに卵、砂糖、油を入れてよく混ぜます。
私は、お砂糖は普段お料理にも使っているてんさい糖、油は米油を使っています。砂糖はきび砂糖やグラニュー糖などお手持ちのもので構いません。油の方は、米油以外という場合には、味に影響しない香りのないもので太白ごま油かサラダ油でも大丈夫です。

そこへ薄力粉とベーキングパウダーをふるって加え、ゴムベラでさっくり混ぜ合わせます。粉っぽさがまだ残っているところへ、刻んだローズマリー、アーモンドを加え、全体に行き渡るように混ぜ合わせたら、これであっという間に生地のできあがりです。こうして材料も道具も手数も少なくおいしくできてしまうのが、ビスコッティの大好きなところです。

本来ビスコッティは油を使わないことが多いのですが、それはイタリアでは硬く焼き上げたビスコッティをコーヒーや甘口ワインに浸して柔らかくして食べる習慣があるから。日本だと、お菓子を飲み物に浸して食べるというよりも、コーヒーを飲みながらそのままざくざく食べられる方がスタイルに合っているので、このレシピでは少しだけ油を使い食感が硬くなり過ぎないように工夫しています。

⒊焼いていきましょう。
天板にオーブンシートを敷き、手に油をつけて、生地を棒状にして中央に置きます。8cmほどの幅に細長く整えて、アーモンドが顔を出していたら中に押し込み、表面をできるだけなめらかにならしておくと、焼いた時のひび割れを防げます。

生地は触るとかなりベタベタするので、手で扱う時は手に油をつけて、オーブンシートの上に置いたらゴムベラをうまく使って整えていきます。

また焼くと少し膨らむため、完成のイメージよりもやや幅を細く高さも低めに(1cmほどに)平たく成形しておくと、イメージ通りの焼き上がりになると思います。

成形できたら、予熱したオーブン180℃でまず15〜18分ほど焼いてきます。2度焼きするので、1度目は焼き色を付け過ぎないように、生地が固まる程度に焼くことが大事。

オーブンは個々にクセがありますから、この温度と時間を目安に、途中様子を見て調節してみてください。

⒋切って、2度焼きします。
1度目の焼き時間が経ったらオープンから出して、触れるくらいになるまで少し時間をおいて冷まします。(3〜5分程度)

オーブンは140℃に温度を下げておきましょう。

生地の表面が冷めてきたら、包丁で1〜1.5cm厚さを目安に切ります。包丁をあまり前後に動かさずに、ざくっ、ざくっと、潔く切っていくのが、崩れにくくきれいに切るコツです。

厚さはお好みで変えていただいて構いませんが、厚い方が2度目の乾燥焼きに時間がかかるため、硬く仕上がります。私は“ほどよい硬さ”を目指して、やや薄めに、1.2cmくらいが一番好みです。

切った生地を今度は断面を上にして天板に並べ、140℃でさらに10〜15分焼きます。10分で一度様子を見て、焼き色が強くなっていたら10℃くらい温度を下げてください。その時ついでに一度裏返しておくと、より均一に丁寧な焼き上がりになります。

ほんのり色付きが増して、真ん中あたりを触って硬さを感じれば焼き上がりです。オーブンから出して、天板にのせたまま完全に冷めるまで置いておきます。

硬さが特徴のビスコッティではありますが、2度目の乾燥焼きを長くし過ぎると本当に硬くなりますので、色よく軽さが出る程度が私のおすすめです。

焼き立てはローズマリーの爽やかな芳香が素晴らしく、食べる前から心がときめきます。たっぷり混ぜ込んだアーモンドの断面も天然石の模様を思わせるような素敵な雰囲気。

まずはそのままザクっと、コーヒーとご一緒にどうぞ。しっかり硬さのある生地の部分とカリッと歯切れのよいアーモンド、心地よく響く二つの歯応えと風味が味わえます。ほどよい硬さとは言いながらも、食べ慣れたクッキーなどに比べるとかなり歯応えが強いので、本場イタリア風に飲み物に浸すのもやはりおすすめしたい食べ方です。

コーヒーにウィスキーやラムなどの洋酒を少したらすと、ローズマリーが効いたおとなっぽさと益々相性がよくなります。コーヒーを含んだビスコッティは口の中でほろほろっと崩れ、そのままのザクザク感とは全く違うおいしさに変わります。一度やり始めるとすっかりクセになりますから、ぜひお試しください。アイスクリームに添えてもいいですね。

ローズマリーの清々しさと控えめの甘さは、ワインの友にもなってくれます。気の向くままに、お好みの取り合わせで日常のひと時を共に愉しんでください。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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美窪たえ|おとな料理制作室
お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。