『チェイサーゲームW2』がシーズン1から更に輪をかけてメチャクチャな件(第3話放送時点)
奇怪ドラマ『チェイサーゲームW』
2024年9月20日、『チェイサーゲームW2』の放送が開始されました。シーズン1放送終了から半年近くという超短期スパンを空けてのシーズン2です。
ヒロインを演じる中村ゆりかさんは2024年内に他の深夜ドラマで2本もの主演を演じる売れっ子っぷりであり、別主演作ドラマの放送が終わらない内に『チェイサーゲームW2』の放送はスタートしました。不倫されつつ不倫してて、もうわけがわからなかったです。
余談となりますが、最近は不倫“された”話がけっこうなブームらしく、上記のドラマのように「不倫した夫ザマァ」なんかが連発されております。(某所界隈が「俺を認めなかった奴ザマァ」言ってるのにどうして…。)
『チェイサーゲームW』に関しては問題点を中心に…というか、問題点ばかりなので、そういうレビュー記事をシーズン1の頃に書きました。
問題だらけがパワーアップ! チェイサーゲームWのシーズン2
さて、シーズン2となる『W2』はどうなったでしょうか。残念ながら、ますますひどくなって帰ってきてしまいました。
まさかまさかの、「夫と娘が婚外交際を応援する」という、超絶トンデモ展開でスタートしました。視聴者はどうして未だに離婚していないのかという説明を一切されない状態で、夫が「理解のある彼くん」どころか「応援するだけの壁くん」へと化けたのを納得して視聴しなければなりません。
百万歩譲って、夫くんの奇行は許すとしても、娘が謎の洗脳を施されて母が別の人との交際を素直に応援しているのはあまりに異様です。親の不倫や離婚が子への負担につながるという常識が見えてこないのは何故でしょうか。
第2話で冬雨がまだ既婚のままであるのを「つらい思いをさせてごめん」みたいな感じで樹に詫びたりしてたわけですが、いやいやいや本当につらい思いをしているのは人生の再スタートを切れないまま待たされている夫くんでしょうという。
上記はシーズン1放送終了時の脚本家コメントです。シーズン1ではファン層が確立したものの、その界隈内でもかなりの議論になっていた箇所があります。レズビアン設定の登場人物が男性と結婚し、なおかつ子どもを作っていたという設定です。
さっくりまとめると、下記です。
レズビアンだったが親や社会からの圧が強くて仕方なく男性と結婚した→まあ、最近だとそういうのも古くなってきているけど、まだわかる
レズビアンだったが失恋中に出会った男性と恋愛関係になり、結婚もして子どもを作った→フィクションドラマにそんな設定いらん
何を考えたのか、この後者をわざわざ選んで不興を買ったのが『チェイサーゲームW』です。冬雨が異性愛者女性で、樹が男性だったらという想定をしてみれば、ピンとこない方でもそのフィクションドラマとしての微妙さに気づけるかもしれません…が、やっぱりわかんない人はわかんないような気はします。
そして、この失点を取り返すために考えたと思われる設定がシーズン2開始時の「夫と娘が交際を応援する」という超トンデモ展開です。何故叱られたのかを理解しないまま明後日の方向に改善策を見出して威張る子どもそのまんまです。
このドラマの同性愛観、『セーラー服 百合族』(1983年のポルノ映画)といい勝負じゃないですかね。1983年と言えば、同性愛がバリバリの病理扱いされてしまう時代のはずですが。
まだ言ってる…。「中国では同性愛は幸せになれません」
この同性カップル難民認定事件は2024年5月の話で、まさか番組関係者の全員が知らないはずはないでしょう。にも関わらず、平気な顔して回想シーンに「中国では同性愛は幸せになれません」を入れてしまうという認識の浅さです。日本でも中国同様に同性愛は幸せになれません。(※国が婚姻関係を認めないという意味で。)
別に入れなければ作品時間が稼げないとか、そういったレベルでもないのです。あんなほぼ一瞬の映像を入れる必要なんて、どう見ても別に無かったわけです。それでもあえて入れたのが、このドラマというわけです。
まあ、中国では同性愛が取り締まりの対象になるみたいな報道もけっこうあるので、そのあたりは否定しませんが、どうも小規模であるなら国としては見逃す方針のようなので、微博(中国の代表的SNS)を見ると同性カップルとして発信している女性も特別珍しくはありません。(上記Youtube投稿動画は中国の低予算GLミニドラマ。)
状況としては日本にけっこう近く、上記の本は少々古いものとなりますが、日本で言うところの新宿二丁目的な場所に取材したレポが書かれています。
そもそも冬雨が名家だからという理由で、脚本が同性愛の苦難事情問題から逃げようとするなら、冬雨の夫が職についていないように見える状態だったのが更に謎すぎますし、「サファリパークの飼育係をやることにしました(ついでで獣医の資格を取る予定)」なんて言った日にゃ、名家としては逆に夫側へ離婚を迫っても不思議じゃないでしょう。「一族共々身辺調査される」とまで言ってる割には、入婿っぽい夫くんが定職に就いていないのをそう大して気にしていないのは実にアンバランスです。(1期からしてそうなんですけど、異様に男に甘いですね、このドラマの脚本。)
センシティブなものを扱いながらキャストへのサポート皆無の制作陣
レズビアンを演じることを質問されたら、まさかのゼロ回答です。1期から間があってオフイベまでやっておいて、ゼロ回答。これには驚きました。
いやいや、少しぐらいはコメントするなり、それか事前にそういった質問は禁止しておくなり、それぐらいは準備しておくべきではないでしょうか。私は別に「同性愛者を演じる以上は人権に配慮したコメントを出す義務がある」とか、そういったことまでは考えておりませんが、話題を振られてスルーしてしまうのは最悪の対応でしょう。「なーんも考えずにやってまーす」と告白してしまっているのですから。
それでいて番組公式は堂々と百合営業ですよ。BLドラマの悪い部分をものの見事になぞってしまう無神経さに私は開いた口が塞がりません。
BLドラマトラブル先進国のタイでは、BLドラマの延長線上での「カップル営業」が火種となって荒れる現象が起きており、そのような道をわざわざ選んでしまうことに悲観的な見方しかできません。
そう言えば、『作りたい女と食べたい女』のドラマでもありましたね。DVD発売告知のすぐ後に主演の人が仲良し画像をあげるというバレバレ営業。こちらはステルスマーケティング的にやっている分、より悪質ですが。
余談。中国で嫌われる担当脚本家
中国大手SNSである微博を見ると、どうも担当脚本家は『チェイサーゲームW』のファンから「ファンが望んでいない展開ばかりやる」という理由で大変嫌われているらしく、「口を開くだけで不愉快」と形容され、挙句の果てには「スタッフを総入れ替えしてシーズン3を作ってほしい」とまで書かれていました。
まあ、ドラマの内容を外部のSNSで自らフォローしているとか、日本人が見てもけっこうおかしいですが…。「モヤモヤしてる人がいるようですが、当然そんな事実はなく」という表現も、微妙に攻撃的で感じが悪いですねえ。(私みたいなのが他人に「攻撃的」だと指摘するのもどうかという話ですけど。)
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