嫁ぎ
そろそろワタシの元へきたらどうです
親父さんもいつだいつだと顔を顰めているではないですか
オマエさんさえよければいつでもいい
できるだけ早う来てくれないですか
此処はなかなかのもんですよ
食い物は鱈腹あるし 寝床もちゃんとある
なのに何がオマエさんを渋らせるのか
そう いつ迄もバタバタとしてもしようがない
ならば ワタシから迎えに参りますよ
オマエさんよ
いい加減 言葉にして教えてはくれぬか
そうか オマエさんの言葉は理解できぬのだった
ワタシとオマエさんは結べないのか
ならば せめてもの餞に
庭に住まう蜘蛛を眺めている
巣にかかった蝶に向かい そろりと動き出し
近づきながらそう言っているのが聞こえてきた
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