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残された赤い靴。
赤い靴を履いた女の子は、宣教師の元に預けられた。
函館に渡ったお母さんが、病弱のきみちゃんを過酷な環境の留寿都入植に連れていくことができなかったからだ。
この話を聞いた野口雨情が世に送り出した名曲『赤い靴』が生まれた現実のエピソード。
歌では女の子が異人さんに連れられて「行っちゃった」ことになっている。残されたのは親ではなく、きみちゃんのほうだったのではなかったか?
函館のレンガ倉庫群にほど近い電柱に、赤い長靴が残されている冬があった。
誰のものだろう?
雪の函館で、片方だけ長靴が忘れ去られるとはにわかには考えにくい。
誰が?
なんのために?
色褪せた赤い長靴は、長年の風雨に耐えてきたことを伝えている。
もしかして?
旅先では、見つけた塵ほどの点が面に広がり、立体的に浮かび上がってくることがある。