大人味のトマト味パスタが食べたい!
家で大人なトマト味パスタが食べたくなることがある。トマト味は簡単だからトマトケチャップを使うことになるのだが、これだけで味付けをしてしまうと甘さが際立ち、お子ちゃまナポリタンになってしまう。だからふた手間かける。
トマトペーストを常備しているので、活用しない手はない。それでもケチャップの甘味は解消できないから、もう一手間加えて……。
というわけで、散文クッキング。
トマト味の大人なシーフード・パスタ。
ニンニクはペペロンチーノばりに3カケを欲張り微塵切り。これに乾燥させキッチンに吊るしてあった真っ赤に干上がった鷹の爪を1本手に取り輪切りにして、これらをフライパンにたっぷり目に入れたオリーブオイルに低音で香りを移す。
パスタはディチェコ。大鍋にたぷんで湯を沸かし、塩ひと匙を落としてパスタを投入。11ミリで茹で時間は7分とあるが、後ほどトマト味を移す時間を差し引いて5分で湯からあげる。
一方、茹で上がり時間に合わせて、トマト味のソースを仕上げていく。野菜は玉ねぎとセロリ。ともにスライスする。セロリは葉は取り分けておき、斜めに好調を入れた茎の部分を使う。それらをニンニクと鷹の爪の香りが移ったオリーブオイルに入れてしばし炒める。野菜を炒めるときは火を強めないと、パスタの茹で上がり時間に間に合わない。この絶妙な辻褄合わせに、アクション映画鑑賞ばりの緊張が走る。
野菜に火が通るのを見定めたら、冷凍のシーフードミックスをそのままフライパンに投入。凍ったまま。だって、自然解凍なんてしていたら、食べたいタイミングを逸してしまうもの。
そしてここからが大人味への工夫のしどころ、その1。大人の味は、微妙な苦さがあったりするもの。そこで白ワインを50ccほど加えるんだよね。そこに大さじ4くらいのケチャップとトマトペースト1袋も入れ込んで、シーフードに火が通るまで煮る。ケチャップを入れるととろみが出てくるため、煮詰まらない程度のサラサラ感を残すため、いい具合の加減で少量の水を足す。
塩と胡椒でソースの味を整えたら、茹で上がったばかりのパスタを移し入れ(ピッタリと辻褄が合うこの瞬間のなんと幸せなことよ)、混ぜる。パスタがソースの味を吸いナポリタン色に色づいたら、いよいよ大詰め。
味にパンチをかます決め手は「お酢」だ。このようにして大人なパスタは、甘味を残しつつ、苦くて酸っぱい味とする。辛酸甘苦、味覚の4拍子は、まるで人生そのものじゃないか。このようにして、お子ちゃまのナポリタンを脱し、トマト味のパスタを深みのある人生の味に変える。
仕上げにセロリの葉を粗めのみじん切りにしてフライパンに上から散らし入れ、鮮やかな緑色をパスタ全体に行き渡らせたら出来上がり。
トマト味のパスタに添える飲み物は?
なぜか決まってミルクセーキが飲みたくなる。
大人な自分でも、しっかりお子ちゃまな部分は残っている。
もちろん、作ったパスタは食べ残さない。きれいに平らげる。