名刺がわりの小説10選
よく上記のようなタイトルで固定記事にしている方がいるが(そして私も以前「おすすめ映画30」という似たような記事を書いたが)、せっかくだからただの羅列ではなく、選考プロセスもつらつら記していこう。なんてったって、今頭の中が白紙であるし。
まずは、私にとって外せない作家と言えば、卒論のテーマにした阿部和重。一冊選べと言われたら、かつては短編3つ3つの2冊に分かれていたものが合本された『ABC 阿部和重初期作品集』という文庫を勧めたいが、やはりそれよりも外せないのは、
①阿部和重『アメリカの夜』
だろう。
それから自分の頭の中でその近辺にいる作家として、
②川上未映子『わたしく率 イン 歯ー、または世界』
③中原昌也『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』
を挙げておこう。
それから、時代的にはその近辺にいる人として、
④青木淳悟『私のいない高校』
⑤諏訪哲史『アサッテの人』
⑥堀江敏幸『その姿の消し方』
このあたりがくるだろうか。青木さんにインタビューできる機会を得た幸運は未だに忘れられない。新刊『憧れの世界』も要チェック!
もう少し時代を遡ると、古井由吉は絶対に入れたいのだが、一冊というと迷うなぁ。やや手堅いかもしれないが、
⑦古井由吉『仮往生伝試文』
この傑作だろうか。短編一個で言うと「眉雨」が好きです。
それから更に時代を遡るとこのへんがエントリー。
⑧森敦『意味の変容』
⑨土方巽『病める舞姫』
どちらも自分にとって破格の重要性を持つ作品だ。⑨は小説なのかと一瞬思ったが、図書館で見たら「913.6」の欄にあったので小説とする。
ここでとんでもないことに気づいた。縛ったわけでもないのに日本文学しか入っていない! 海外文学の教養がゼロだと思われる…(思われてもいいが)。『ドン・キホーテ』は大好きだがまだ読了してない。『百年の孤独』とか『失われた時を求めて』じゃいかにもありがちだ。ベルンハルト『ふちなし帽』にしようかな。いや、でも…
ということで最後の一作はこれになりました。
⑩レーモン・ルーセル『アフリカの印象』
以上が私の少なすぎる読書体験からなんとか捻り出した、名刺がわりの10冊です。