読書感想文 11文字の殺人
1987年の作品の再読です。新装版として、「昭和だから起きた怪事件!」とありますが……
まだ読んでない方に書店の推薦コメント風にお勧めするなら
「狙われていると言っていた恋人が殺された。あたしは親友の冬子と一緒に事件を調査するが……次々起きる殺人事件は、過去のクルーザーでの事故の当事者だった。殺意の元となったものは? 正義とは? 復讐とは?」
あらすじ
ミステリー作家のあたしは、担当編集者冬子に紹介された川津雅之と恋人同士になった。が、狙われていると言った雅之は出会いから二か月で殺された。雅之のスケジュール帳から、スポーツプラザの山森と会っていたことがわかる。山森に会って話を聞くが進展はない。雅之の残した資料を譲り受けたあたしに、カメラマンの美由紀が接触してくる。必要な資料を探したいと言うのだが……受け取った資料の箱には開けたあとがあった。
美由紀にも会う予定があったが、美由紀は殺された。
調べを進めるうちに、雅之はクルージングツアーに参加しておりその時の事故で一人の人が無くなっていることが分かった。山森や山森の家族、スポーツプラザの従業員や美由紀も参加者だった。参加者の一人がまた殺される。
そんな時、あたしと冬子は一周忌のクルージングツアーに山森から誘われる。そして、また殺人が起こる……
感想
こんなのだったかなあ……本当に昔の記憶はすっぺり落ちていて新たに読んだ気分です。「昭和だから起きた怪事件!」なのかどうかはよくわからないけれど、スポーツプラザの従業員が話を聞きに来た作家にクルージングツアーの参加者名簿をホイホイ渡してしまうと言う設定は、個人情報に敏感な令和の時代には無理な設定だなあと思います。
でも、やはり文章は読みやすいし、いくらか突っ込みどころはあれど正義とは何か? 復讐とは何か? 考えさせられる部分はあってさすが東野圭吾と感心します。
連続殺人犯はわりと早めにこの人じゃないかな?って思うのだけど、その人が殺されちゃて、アレ?ってなるのもなかなか上手いです。というのは、犯人の独白のような文が途中に混ぜられるのですが、それを同一人物とミスリードさせるんですよね。そっかそっか、こういう感じで読者を騙すのね。
「あたし」目線の一人称視点での語り方が、なかなか勉強になるなあと感じるのは、小説のお勉強を始めて、初めて感じる感じ方かもしれません。
やはり同じ作品でも、読んだ時の、年齢、環境、興味などによって感じ方が違うというのも、読書の面白いところだなあと思います。
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