会社説明会でゲームプランナー希望者から来る「よくある質問」に正直に答えます
回答する時に考えていること
毎年このくらいの季節になると会社説明会に駆り出され、ゲームプランナーのお仕事について話すことが増えてきます。
新卒の方々と直接話す、ポートフォリオのレビューを頼まれるなどなど…
せっかくの機会なので良いように使ってくれれば、くらいの気持ちで受け答えをしてます。
とはいえ色々伺っていると「個人的にはこう思っているけど、色々と考慮した結果そうは答えられない」質問が多いです。
色々と考慮ってなんだ?と思うかもしれませんが、簡単にまとめると以下のような点を主に考えつつ、返答内容を変えることがあります。
◆学生のスキルレベル、業界理解度
◆相手が単純に質問に答えてほしいのか、ヒントやアドバイスが欲しいのか◆自分の気分
スキルや業界への理解度は、高レベルの学生には割と現場での具体例を交えたりやお客様視点での話をします。
逆に「ゲーム会社ってよくわかんないけど、ゲームは遊んでました!」というフレッシュな若者には「ようこそ!!ここは あの〇〇というゲームをつくっているかいしゃだよ!」と、ウエルカムな雰囲気でお話しします。
(この辺は不本意ながら、やんわりと会社側からくぎを刺されるので)
質問云々は学生の話しぶりなどから「この人は単純な疑問から質問しているのか」「いま悩みに直面していてその答え…あわよくばたどり着くためのヒントでもいいから欲しい」のどちらなのかはだいたいわかります。
前者の場合はしっかりと説明をしてあげると満足そうに帰っていきます。
一方で後者のような場合ですが、おおよそはシンプルに「大丈夫だからやってみよう」と答えて後押ししてあげます。
この場合の方は基本的なスキルや能力はあるので、あとはとにかく経験を重ねて欲しいタイプです。
最後の自分の気分ですが、これは「ここではっきりと客観的な事実を伝えるべきだ」と思った瞬間、質問から個人的な長い話が始まります。
(誰にも指摘されていない故に大きな間違いをしている方のみ限定です)
別に怒っているとか、気に入らないとかではなく、ゲーム開発者的に見て
「なぜそういう思考でOKだと思っているのか?」「キミのその意見は誤った認識から生まれている」といった質問には、正直にその場で答えます。
上記のようにいくつかのフィルターを通してその場では受け答えをしますが、今回は受けた質問に対して自分が率直に思っていることを赤裸々に書いていきます。
質問①「ゲーム開発をしたことがなくてもゲームプランナーになれますか?」
なれます。
自分もそうでした。が、就活中はやっておけばよかったと後悔しました。
ただ、大手企業や若くしてプロジェクトを立ち上げたりとご活躍されている方々の多くは専門学校やゲームジャム等で、開発の経験をたくさん積んでいると思います。
また、ゲームはチーム制作のため、経験があることが仕事上のプラスになることは間違いないので、自分の弱点だと思うのなら積極的に経験を積みましょう。
質問②新入社員には具体的にどんなスキルを求めますか?
素直さ、伝達力、困った時に迅速に報告する能力。
素直さは、「目上の人の言うことに従う」意味では全くなく、自分の成功は素直に喜び、失敗したら反省して、相手の意見に対して客観的な視点になって意見をまとめる、というプランナー業務では割と求められる立ち回りに必要なスキルだと思います。
伝達力は口頭でもそうですし、書き言葉(チャットなど)や画像を用いた書類の作り方も当てはまります。
めちゃくちゃな文法や画像でも、「これならわかりやすいね!」というのが割と認められるのがゲーム業界のいいとこかなと思います。
(だってこっちのがかっこいいじゃん!!みたいな意見が通りやすいです。不思議ですね)
最後の困った時の報告ですが、新卒の方にありがちなのが「失敗してもしばらく自分でどうにかしようとして、どうにもならなくなってしまう」ことです。
ゲーム開発では、自分個人の失敗でもどこかの別部署の作業に影響が出ることがよくあります。
なので、自分が新卒の方にはこの「失敗した時の報告」を最優先事項にして、「失敗してもまあみんなでどうにかするから大丈夫です」「ただし事件が起きたらすぐ知らせてください」と覚えさせます。
意外とこれは新卒に限らず、すべての人に言えますね。
質問③ゲームのアイデアを考えている時に、日頃からどういう所に目を向けているか?
「おもしろいな~これ!」と思ったものは調べてみること。
これはなんでもいいんですが、好きな食べ物でも好きな漫画でも興味を持てそうなものがあったら「なぜおもしろいのかな?」と考えてみると良いと思います。
明確な答えが出てくるとは限らないですが、「考える視点」としてはこの辺りかなと思います。
・他の人は同じように興味を持ってくれるか
・なぜ売れてる(売れてないのか)
・一生それを追いかけてもいいか?
・ほかに似たようなものがないか?
・それはその媒体でないといけないか?
ちなみに自分の体験談ですが、去年に初めて豆苗というものを認識しました。
今まで食べたことはあったものの、形と名前を認識したのは初めてでした。
「切って食べた後、根を水につけておくとまた生えてくる」事実に、とても感銘を受けて、そこから正しい手入れ方法や収穫期間、栄養素やおいしいレシピを調べて半年くらいは豆苗の家庭栽培を始めていました。
最後は夏場に水を腐らせて豆苗を殺す大惨事になってしまいましたが、とにかく豆苗についてはまず聞いてくれよ!と自負できるくらいにはなっていたと思います。
先ほどの「考える視点」に当てはめるならば
・他の人は同じように興味を持ってくれるか
→料理好きはもちろんだが、意外と一人暮らしの男性は持ちそう。自家栽培もできるし、生食・炒め・汁物・和え物と幅広く食べれる。甘味もあるので、子どもも好きかも。
・なぜ売れてる(売れてないのか)
→豆苗は売れている。安価で栄養素も高い。レシピ応用も効く。でもキャベツやニンジンのようにメジャーではない。なぜだ・・・?
・一生それを追いかけてもいいか?
→正直、そこまでではない。なぜならば他にも食べたいものがあるから。
・ほかに似たようなものがないか?
→カイワレ大根、ブロッコリー、芽キャベツ、マスタード。
どれもスプラウト類だが、簡単に栽培できるのは豆苗。
・それはその媒体でないといけないか?
→…自家栽培で途中から生えてくる魚とかだと嫌ですね
と、たったこれだけですが、様々な視点から1つのコンテンツを観察して考察すると色々な情報が得れると思います。
ゲームクリエイター的には、様々な視点からの発想力、他類似品との差別点、論理的にそのコンテンツの構成要素をまとめる、買った人がどのようにそれを使っているか?などは、必ず持つべき視点かなと思います。
まずは身近なゲーム、自分の見たアニメなどなんでもいいんですが、試しに1つまとめてみると良いでしょう。
おわり
説明会に自信満々で来る人など全くいません。
皆、なにかしらの不安や疑問を持っているけど、なにかしらを得たいがためにやってきているような気がします。
一方で「なぜすぐわかることを不安に思っているのだろう」と、考えてしまいます。
ゲーム業務の課題なのかもしれませんが、業務の理解度やゲームクリエイターがなにをしているのか?という業界への理解や認知がすごく低いように思います。
少しでも新卒でゲームプランナー希望する人が増えてほしいと思いつつ、
就活に対して参考になると思うものはすべて出していこうと思います。
ゲーム開発という仕事に興味を持って欲しいし、必要なスキルを身につける具体的な方法を知って、もっと業界へ参加して欲しい。
説明会に来る新卒の方々にはぜひ「ゲームクリエイターになりたくて来ました!」と言ってもらえるようになって欲しいです。
今後、このnoteでは自分の体験談、製作した企画書やPR書類などを公開して、具体的な新卒ゲームプランナー希望者向けのまとめをしていきます。
引き続きよろしくお願いいたします。