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戦争と向き合う

先日『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』を鑑賞してきた。
特攻隊員との恋愛がメインの作品だが、戦争についても深く描かれた作品だった。
鑑賞中に思い出したことがある。私が高校2年生の時に書いた、感想文だ。
映画内でも訪れたと思われる、平和会館の感想のため、記録として残そうと思う。

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はじめて戦争と向き合った、気がする。
私にとっての戦争は遠い昔のことでしかなかったし、戦争という単語からにじみ出る狂気さが怖くて逃げてきたのだ。だから、事前学習は憂鬱だった。
例えば『永遠の0』。戦争モノを避けていた私にとっては苦痛で、たいした感想を持てなかった。周りで泣いている人がいて驚いたし、泣けない自分に焦った。一人だけ平和を願っていないような疎外感が辛かった。

修学旅行二日目の知覧特攻平和会館は私を変えた。
まず、講和。
淡々と事実を話されている様子に驚いた。と同時に胸にすっと入ってきた、はじめて自分の感情を通さずに戦争の話しを聞いたからだ。

講和のあと、自由に管内を見学する時間があるのだが、その中で今までの考え方を変える出来事が起きた。
館内には特攻で国の為に命を犠牲にされた方々の遺影が飾ってある。その中に「ご遺族・連絡先等が不明なままです」という付箋紙が貼ってあるものがあった。それを見た瞬間、なんとも言えぬ感情が出てきた。
今までどんな話を聞いても、映画を見ても、本を読んでも何も感情が出てこなかった。それなのに今は、たった一文で涙が出てくる。
その一文に「戦争とはこういうことだ」と教えられた気がした。「戦争で人が死ぬ」という当たり前のことがやっと理解できた。理解できた瞬間、頭の中に強烈な虚しさが広がって苦しくなった。

この修学旅行の間、何回も特攻のことが気になった。もっと知りたくて家に帰ってから調べてみた。
けれど、わからない。特攻の歴史や生き残った隊員、遺族の方のインタビュー。何を読んでもわからない。特攻に志願した方の気持ちや、突撃する瞬間なにを思ったのか。きっと私には永遠にわからないままだろう。「国の為」に命を犠牲にするのはおかしい。
過去を嘆いても何も変わらない。しかし、知ることは大切だ。もう二度と同じ過ちを犯さないために。

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映画を鑑賞中に込み上げてきたもの。
正義感の強い主人公と同じになった気持ち。
それは平和への祈りだと、信じたい。



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