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シンプルに鬱

動けない外に出られない何もやる気が起きない映画を観るがワクワクしない心が動かない漫画を一度に10ページ以上読めない延々とYouTubeのホーム画面をリロードしているが動画を見るわけではない布団に転がっているときが唯一の心地いい時間だが眠ると悪夢を見るので目的もなくTwitterのタイムラインをスクロールしたり5分に一回新着メールの確認をしている。鬱の診断基準を再確認すると間違いなく僕は鬱状態である。人に会わないから表情が無い。日々真顔で声も発さず暮らしている。週に一度のアトちゃんとの面会を楽しみに生きているが、いざ面と向かうと表情筋がうまく動かない、嬉しいという感情が出せない、姿勢を保てず常に何かに寄りかかっている、ひどいときはそのまま寝てしまう。非常に申し訳ない。しかし鬱っぽいんだと主張したところで信じてもらえなさそう、というか僕の言うことなんてまともに受け取ってもらえないだろうという失礼な諦めがある。そしてこれはアトちゃんに限ったことではないのだ。単にアトちゃん以外の誰かとコミュニケーションを取っていないのでアトちゃんと会うと不機嫌そうに見えてしまっているだけなのだ。

僕は料理が好きではない。潔癖症だからこそ洗い物も好まない。なので食事は必然的に簡素で同じものが続く。僕は食事を生きるための行為としか思っていないので別にこれで良いのだけれど、さすがに一週間毎食同じものを食べ続けるような食生活では飽きが来る。空腹は感じるけれど食べるのが面倒くさい。白湯やお茶を飲んでごまかすけど30分も保たない。普段こんな状態なので、アトちゃんに食べたいものを訊かれたときに返答に困る。この場合生きるための食事ではなくエンタメとしての食を考えるのが正解なのだろうが、いかんせん料理も自分の腹具合も知らないので寿司と焼肉とラーメンしか思いつかない。そして実際はそれ以外でも何でもいいのだ。日本は幸いなことに大抵のものが美味しい。ただ問題は何を食べるにしてもお金がない。お金が無い者に選択肢はない。食事について考えると、生きる資格さえ剥奪された気分になる。そしてそれは明日からも続いていく。

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