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【東洋のパリ】ベトナム南部「東南部地方」の省・市まとめ

ベトナムには全国で63の行政区があり、そのうち南部には17の省と2つの中央直轄市(ホーチミン市とカントー市)がある。

本記事では、ベトナム南部の行政区を「旅行者向け」と「出張者向け」の両方の視点から解説

観光スポットやグルメ、ローカル体験はもちろん、ビジネス環境やアクセスの利便性まで徹底網羅。ベトナムへの旅行や出張を計画している人は、ぜひ参考に。



ベトナム南部とは?

気候は温暖で、年間を通して暑い。雨季(5月~11月)と乾季(12月~4月)に分かれ、雨季にはスコールが頻繁に発生する。

ホーチミン市の大都市圏に加え、 メコンデルタの豊かな自然や歴史的な観光地が点在しているのも特徴。


東南部地方とは?

南東部地方は、ベトナム南部の経済・工業の中心地であり、ホーチミン市を含む6つの省・市で構成されている。

■特徴

  • 経済の中心:ホーチミン市を中心に、ベトナム最大の経済圏を形成。外資企業の進出が活発。

  • 工業地帯:ビンズオン省、ドンナイ省などに多くの工業団地があり、製造業が盛ん。

  • 港湾・物流拠点:バリア=ブンタウ省にはカイメップ港があり、国際貿易の要所。

  • 人口密集地:ホーチミン市を筆頭に、都市化が進んでおり、国内最大の人口密集地域のひとつ。

  • 交通インフラ:タンソンニャット国際空港、高速道路、港湾が整備され、国内外の物流が活発。

■構成する省・市

  1. ホーチミン市(Thành phố Hồ Chí Minh)※中央直轄市

  2. ビンズオン省(Bình Dương)

  3. ドンナイ省(Đồng Nai)

  4. バリア=ブンタウ省(Bà Rịa - Vũng Tàu)

  5. ビンフック省(Bình Phước)

  6. タイニン省(Tây Ninh)

ベトナムの経済成長を支える最も発展した地域のひとつ。
では、それぞれの都市について紹介する。


1. ホーチミン市(TP. Hồ Chí Minh)

統一会堂

■ホーチミン市とは?

ホーチミン市は、同国で最も人口が多い都市であり、東南アジア有数の世界都市でもある。市街中心部の旧称は「サイゴン」。現地では今なお「サイゴン」という表現が、様々な場面で使われており、都市名としては「ホーチミン市」よりも通じる。ホーチミン市は、ベトナム南部圏の中心として、同国GDPのおよそ半分を占める。

■旅行者向け

  • 観光スポット:統一会堂、ベンタイン市場、戦争証跡博物館、クチトンネル、ブイビエン通りなど

  • グルメ:バインミー(ベトナム風サンドイッチ)、フォー、バインセオ

  • ローカル体験:サイゴンスカイデッキで夜景を見る、路地裏カフェ巡り、エビ釣り体験

■出張者向け

  • ビジネス環境:南部最大の商業都市、外資企業が集中し工業団地も多い

  • アクセス:タンソンニャット国際空港が拠点、市内移動はタクシーやバイクが主流、2024年12月からメトロが開通

  • 滞在エリア:1区、2区、3区、7区、ビンタイン区がメイン

■在住者の感想

  • 観光は1日あれば回れてしまうほど、見どころはそれほど多くない

  • 夜はブイビエン通りや日本人街、ルーフトップバーなどがにぎやかで楽しい

  • 非常にコンパクトな街で、生活するのが便利


2. ビンズオン省(Tỉnh Bình Dương)

フークオン大聖堂(Nhà Thờ Chánh Tòa Phú Cường)

■ビンズオン省とは?

  • ビンズオン省は、ベトナム南部の省(地方自治体)の一つ。省都はトゥーザウモット市。ビンズオン省は海外企業誘致に積極的な地域であり、ホーチミン市を中心とした南部経済圏の主要な省の一つ。製造業をはじめとした多くの日系企業が投資をしている。

■旅行者向け

  • 観光スポット:フークオン大聖堂、ダイナム公園、Phu An Bamboo Village(竹やぶ)

  • グルメ:バイン・ベオ・ビー(エビ、ネギ、緑豆ペーストなどを載せた小さな蒸し餅)、クアイ・ソイ・フォン(鶏の丸焼きと焼きおこわ)、マンゴスチンサラダ

■出張者向け

  • ビジネス環境:VSIPやMy Phuoc工業団地など、多くの外資企業の製造拠点が集積

  • アクセス:ビンズオン省の中心まではホーチミン市から車で約1時間~1時間30分

  • 滞在エリア:「東急が開発しているビンズオン新都市エリア」もしくは「イオンモール ビンズオンキャナリー近くのエリア」

■在住者の感想

  • 観光向きではなく、ビジネスの街

  • 日系製造業が非常に多い地域

  • 東急が開発を進めているエリアもあり期待が大きい

  • ほとんどの在住者はホーチミン市内から通勤していたが、ここ最近は東急が開発している新都市に住む人が増えている

  • ゴルフ場が多く、出張者の利用も多い


3. ドンナイ省(Tỉnh Đồng Nai)

チュアチャン山(Núi Chứa Chan )

■ドンナイ省とは?

ドンナイ省は、ベトナム南部の省(地方自治体)の一つ。省都はビエンホア市。ビンズオン省同様に海外企業誘致に積極的な地域であり、ホーチミン市を中心とした南部経済圏の主要な省の一つ。チュオンソン山脈南端の中部高原からメコンデルタへ地形が変わる場所であるため、省内に山地、丘陵、平野、湖沼、湿地など多様な地形がある。

■旅行者向け

  • 観光スポット:チュアチャン山、カッティエン国立公園、トリアン湖畔、バンブービレッジ、ザンディエン滝

  • グルメ:ゾイ・サオ・ラン(コウモリの肉の炒め物)、ザボン酒、ゼー・コム・チエン・ヌック・マム(コオロギを油で揚げたおつまみ)、グレープフルーツサラダ

■出張者向け

  • ビジネス環境:ホーチミン市に隣接し、工業団地が発展

  • アクセス:ビエンホア市まではホーチミン市から車で約1時間、新空港「ロンタイン国際空港」を建設中

  • 滞在エリア:ビエンホア市の中心エリア

■在住者の感想

  • 山登り、キャンプ、川遊び、湖遊びなど、アクティブな観光が魅力

  • 旅行者よりも、在住者が週末に遊びに行くエリアという印象

  • ビジネスの中心でもあり、日系製造業が多数進出

  • ほとんどの在住者はホーチミン市内から通勤

  • ゴルフ場が多数あり、出張者にも人気


4. バリア・ブンタウ省(Tỉnh Bà Rịa - Vũng Tàu)

コンダオ島(Côn Đảo)のシックス センシズ ホテル

■バリア・ブンタウ省とは?

バリア・ブンタウ省は、ベトナム南部の省(地方自治体)の一つ。省都はバリア市。旧省都はブンタウ市。バリアは同地の建設に貢献したNguyễn Thị Rịa氏を指すとする説が存在する。

■旅行者向け

  • 観光スポット:ブンタウビーチ、ヌイロン山、ヌイニョー山、武器博物館、コンダオ島、ビンチャウ温泉

  • グルメ:ブンタオ名物「バインコット」、海鮮料理(エビ、カニ、貝類)

  • ローカル体験:地元の漁港でシーフードマーケット巡り

■出張者向け

  • ビジネス環境:石油・ガス産業が盛んで、工業団地も多数

  • アクセス:ブンタウ市内まではホーチミン市から車で約2時間、フェリーも利用可能

  • 滞在エリア:ブンタウ市内のビジネスホテル

■在住者の感想

  • ベトナム人が休日に気軽に行ける海水浴場(由比ヶ浜的な存在)

  • コンダオ島はホーチミンから飛行機で約1時間の「最後の楽園」

  • カイメップ港が近く、近年は日系製造業の進出が盛ん


5. ビンフオック省(Bình Phước)

ブジアマップ国立公園(Vườn Quốc gia Bù Gia Mập )

■ビンフオック省とは?

ビンフオック省は、ベトナム南部の省(地方自治体)の一つ。省都はドンソアイ市。この地域は1975年までビンロン省・フオックロン省が存在していた。1976年にビンロン省・フオックロン省・ビンズオン省を合併してソンベ省を設置した。1996年の国会決議により、ソンベ省はビンズオン省とビンフオック省に分割された。

■旅行者向け

  • 観光スポット:ブジアマップ国立公園、カットティエン国立公園、ダクマイ滝

  • グルメ:バイン・ハット・ディエウ(カシューナッツ、ベーキングパウダー、バター、シナモンパウダー又はおろし生姜、卵、砂糖、小麦粉などを混ぜて焼く)

■出張者向け

  • ビジネス環境:ゴム産業と農業が盛んな地域

  • アクセス:ドンソアイ市内まではホーチミン市から車で約3時間

  • 滞在エリア:ドンソアイが主要ビジネス拠点

■在住者の感想

  • ホーチミン在住者はほとんど行くことがないエリア

  • スタッフの出身地がビンフオック省ということはよくある

  • 関東でいうと栃木や群馬のようなイメージ(超個人的感想)

  • ホーチミン近郊省の工業団地の土地が不足し、今後ビンフオック省まで開発が拡大する可能性がある


6. タイニン省(Tây Ninh)

バーデン山(núi Bà Đen)

■タイニン省とは?

タイニン省は、ベトナム南部の省(地方自治体)の一つ。省都はドンソアイ市。同省のモクバイには、カンボジアとの国際国境が開かれているため、ホーチミン市とプノンペンを結ぶツーリストバスが多く行き交う。

■旅行者向け

  • 観光スポット:バーデン山、カオ・ダイ教寺院

  • グルメ:バイン・チャン・フォイ・スオン(霧干ししたライスペーパーで、茹でた肉とハーブを巻いて、魚醤に漬けて食べる)、バイン・カイン・チャン・バン(豚骨で出し汁を取った米麺料理)

■出張者向け

  • ビジネス環境:ベトナム・カンボジア国境貿易の拠点

  • アクセス:タイニン市内まではホーチミン市から車で約3時間

  • 滞在エリア:タイニン市内がビジネス拠点

■在住者の感想

  • バーデン山は観光地として超有名

  • ”仏教をテーマにしたテーマパーク”のような場所で、ロープウェイも整備されている

  • 関東でいうと栃木や群馬のようなイメージ(超個人的感想)

  • ホーチミン近郊省の工業団地の土地が不足し、今後タイニン省まで開発が拡大する可能性がある


まとめ

ベトナム東南部は、観光・ビジネスの両面で非常に重要なエリアだ。

特にホーチミン市、ビンズオン省、ドンナイ省、バリア・ブンタウ省は発展が著しく、経済の中心地としても機能している。

旅行者は豊かな自然、文化的な名所、活気あるローカル市場を楽しめる一方で、出張者はベトナムの主要産業拠点や国際的なビジネス環境を活用できる。

次回は、ベトナム南部の「メコンデルタ地方」について詳しく掘り下げていく。

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