新番組『THE TRUTH』に要注目。
ある意味で鳴り物入りでスタートした番組だと思う。
何が「鳴り物入り」なのかと思われるだろう。なぜなら、これは広告業界、テレビ業界、いわゆるマスメディア業界の中に限っての「鳴り物入り」であって、正直なところメディアにも広告にも関心のない人々にとっては正直どうでもいいニュースでしかないだろう。
広告業界に少しでも所属した人間であるなら高崎卓馬という名前は聞いたことがあるだろうし、その名前は知らずとも彼がディレクションしたCMは必ず見たことがあるに違いない。その高崎卓馬氏が総合演出・脚本を手掛けたのが本番組である。
完全オリジナルの新感覚ニュースショー
昨日(2023年12月5日)に第1回の放送を終えたのだが、ニュースショーの体をした批評ドラマ・批評コメディという印象だった。AdverTimesに掲載されたニュースから製作者の意図を抜粋して紹介したいと思う。
プロクリエイターがその存在感をその手に取り戻す取り組み
わたしは、白蝶社という”ひとり出版社”を通じて既に休刊に追い込まれてしまった雑誌『広告批評』(マドラ出版)を復刊させたいと考えている。それは、広告(それがマス向けであれ、デジタルであれ)という不特定多数に何らかのメッセージを訴求し、少なくない影響を与える。そして、過去には広告が文化を作っていたことを踏まえ、少しでも広告について考える場を公に残しておきたいと思うからだ。
この新番組『THE TRUTH』は経営的にも、社会的にも苦境に立たされている広告業界がそのポジションを取り戻そうとする取り組みに思える。いったい、誰から取り戻すというのか?
コメンテーター乱立の時代
ひろゆき、ガーシー、その他有象無象のネットクリエイターたち。TikTokやYouTubeのアプリをタップすれば、誰でも彼でも社会問題について語っているし、始末の悪いことにある一定の影響力まで持ってしまっている。彼らがダメだという訳ではない。けれども「なんかよく分からない人たちが語ってんな」というのが否めないのである。
じゃあ、広告業界の著名なクリエイターなら良いわけ?
そう問われても、彼ら彼女らにその資格があるのかどうかは分からないし、それを判断する権利はわたしにはない。しかし、その昔、天野祐吉さんがご存命だったとき、糸井重里さんが現役のコピーライターだったとき、広告表現が注目され、それを作るクリエイターたちがイキイキ活動していた(らしい)時代は、過去の広告批評を読んだり、業界の先輩たちに話を聞いているとそれはそれは楽しかった時代に思えるのだ。
そんな単なる懐古主義的なことだけなら世の中は誰も歓迎しないだろうけど、このドラマが「新しい広告批評の空間」を作り出そうとする取り組みなのかもしれないし、そうでないかもしれない。けれど、テレビに何ができるだろうか?との問いを私たち視聴者に投げかけていることは分かる。でも、一方でそこまでテレビに固執しなくてもいいんじゃ?とも思う。
この取り組みがたった1クール(3ヶ月)で終わってしまうようなら、その諦め姿勢にガッカリするし、仮に「その場をネットに移します」とかなってもガッカリする。正直なところ、視聴率はそれほど取れないだろうし(業界内視聴率は高いだろうけど)、話題にも上らないのかもしれない。でも、それでも続けてみてほしい。それでも続かないなら、これを足掛かりに次の何かを始めてほしい。
とにかく、ネットのよく分からんクリエイターに負けるな!ということを思うのであった。1話はTVerで観られるよ!
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