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起業はツラいよ日記 #38

とても面白い映画を見つけたのでぜひ紹介させて欲しい。

主演であり監督の二ノ宮隆太郎氏は、半グレやヤクザの役が多い気がして若干怖い印象を持っていたのだが、同作でもやはり怖かった。というより、見ていてずっと緊張してしまう人だった。

歩く姿が最高の見せ場

『枝葉のこと』に関するレビューで色々な方が触れているが、主人公の隆太郎(本名と一緒!)の歩き方が映画を観た人の印象を釘付けにすることだろう。彼の焦りや苛立ち、社会に対する態度全てが、彼の歩き方に現れている気さえする。

そして、隆太郎が狭い自宅ですることが「読書」であることというのも見逃せない。強烈な偏見なのだが、一見すると本など読みそうにない風貌の隆太郎は家でテレビを見るでもなく、スマホをいじるでもなく、主にするのは「読書」である。家には様々な本がある様子が描かれていて、文学こそが彼を救い、かろうじて社会と彼を結びつけるか細い糸なのかもしれないと思うと、その役割の大きさを改めて知ることができる。

文学というと、大人しく、真面目で、そんな性格の人間を想定しがちであるが、隆太郎のような粗暴で、怠惰で、不器用な人間でも文学に触れるのだ(作品を見てていればわかるが、彼は同時に大人しくて、真面目で、人に優しくもある)。当然だ。むしろ、彼らこそ文学を必要としているのかもしれない。酒も煙草も女も、どれも雑に扱いながらも、文庫本を丁寧に読む隆太郎の姿にとても清々しい気持ちを与えてもらった。何度も見返したい映画のひとつになったかもしれない。

監督・二ノ宮隆太郎という存在がとても気になってきた。(ちなみに今U-NEXTで観られます)

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