強化合宿in和歌山(DAY3 後編・前進あるのみ)
こんにちは。或るサー夫婦の「ツマ」です。
2022年10月22日(土)に開催されたトレラン大会「ジャングルぐるぐるMAX」の40kmの部への出場に向けて、「ツマ」が行った和歌山での強化合宿の様子を投稿しています。
第1回は紀泉トレニック完走後から観光&移動日(DAY1&2)
第2回は熊野古道前編(DAY3)◀イマココ
第3回は熊野古道後編(DAY4)
それではどうぞ!
強化合宿in和歌山(DAY3 前編・熊野古道でスピリチュアル体験)の続きです。
V. スピリチュアル体験②
13:30
登りに行く道と下りに行く道の二手に分かれている箇所がありました。
案内板はなく、どちらに進むべきかわかりません。
手元で見ている地図にもこの分かれ道のことは書かれていませんでした。
上に登るルートの道は細すぎるので、常識で考えれば今まで進んでいた道を直進し、そのまま下るルートが正しいのでしょうがいまいち自信がありません。
どうしようか悩んで進めずにいると、ふと、下りルート上にある木に赤いリボンの目印があるのが見えました。
登山をする方にはおなじみのリボン。
道が分かりにくいところや分かれ道などで、正しい道である目印に木に括り付けられていることがあります。
そのリボンが見えたので、自信をもって下りルートを進みました。
しかしです。
そのリボンが括り付けられていたはずの木に近づくと、リボンが存在しないのです。
驚いて、先ほどいた地点を振り返り、間違いなくこの木だと確かめたもののやはりリボンは見当たらず。
では本当にこの道で正しいのかどうか再び不安がよぎりましたが、きっと神様が導いてくれているのだと思うことにし、そのまま前進しました。
VI. 最大のトラップ
13:50
難所の銅切坂を下りきって少し進んだあたり。
2日に渡る熊野旅で最大のトラップに悩まされました。
というのも先ほどの分かれ道を除いては、至極分かりやすく案内板が建てられ、道も歩きやすく整備されている熊野古道ですが、なんと、目の前に立派な丸太が進行方向の道を塞いでいるではありませんか。
登山をしているとき、このような場合は「進入禁止」のサインです。
そして、ここまでの道中でずっとルートを指示してくれていた案内板がポッキリ折れているとキタ・・・。
ふとその脇に目を移すと、ルートと思えなくもない道があります。
まさかこっちが正しい道か?と方向転換すると足元には
「この道は、熊野古道ではありません。」
と書かれた小さな看板が。
途方もなく、後続する女性を待とうと試みますが、なかなか姿が見えません。
そこでもう一度案内板をよく見ます。
案内板は折れてはいるものの板の根元の接続部分は直進方向を向いているので、少なくとも小口は「前方」にあると判断して覚悟を決め、そのまま前進しました。
VII. 大雲取越踏破
14:30
今日のコースで最も楽しみにしていた円座石(わろうだいし)に到着。
ここには男性4人組が先着しており、そのうちの一人が円座石の解説をしていたので私もちゃっかり仲間入りして説明を聞きました。
彼らの手にはロードバイク用のヘルメット。
どうやら小口まで自転車で来て、ここまで歩いて登ってきたようです。
肝心な円座石は何かというと、かつて熊野本宮大社、那智大社、速玉大社の神様がこの場に集まって、大きな岩に座って談話したという逸話がある場所なのです。
神様が座った石には本地仏が白い梵字で書かれているはずなのですが、苔に覆われて何も見えません。
観光ガイドの写真がとても厳かで素敵な雰囲気だったので、実物を見るのをとても楽しみにしていた分、とてもガッカリしてしまいましたが、ここまで安全に旅できたことのお礼にお賽銭をして感謝を伝えるとともに、残りの道中の安全を祈願しました。
男性グループはその間に先に下山していました。
イメージしていた円座石 ↓
14:50
ついに大雲取越を出て、人里に降り立ちました!!
古道の出口に本日のお宿・百福の案内板を見つけ、指示通りに直進します。
すると先ほどの男性グループが道端で話しているのが見えます。
集団の横には「新宮市」と書かれた車両が1台。
いったいどういうグループなんだろう?と疑問に思いつつ通り過ぎようとすると、グループの一人が私に気が付いてペコっと頭を下げました。
私も軽く会釈をして、通り過ぎました。
15:00
百福着。普通の民家の入り口に大きく「百福」の看板が掲げられています。
やっと着いたあ~という達成感に浸っていると、庭で作業中のご主人が表に出てきました。
宿泊の予約をしている旨を伝え、チェックインにはまだ少し早いかと思い様子を訊ねると、
「早い方が安心だよ。特に今日のコースはね。」
とおっしゃっていたのが印象的でした。
そして「どちらのお客さん?」と聞かれたので名前を告げます。
聞かれたということは・・もう一人宿泊者がいる!
そして女性・・途中で会ったあの人しかいない!!
(今日1日でハイカーはあの人しか会っていない!!)
もう一人の宿泊者と地蔵茶屋跡で昼食を共にしたと伝えると、
「あんたは何時に出発したんだい?」
と聞かれます。
9:00にスタートしたと伝えると、ずいぶん早く来たもんだ、とご主人。
実は今朝、ハイカーの女性が昨夜泊まった宿から7:30に百福の御主人に連絡があり、女性が出発したと聞いていたのだそうです。
彼女は那智大社付近に宿泊していたのでせいぜい8:00には熊野古道に入っているはず。
ということは、私は1時間以上巻いた計算になります。
「昼食をいっしょに食べたなら1時間以内には宿に着くだろう。あんたが先に着いたから一番風呂の権利はあんたにあるよ。準備するから入りなさい。」とご主人。
なんだか親戚のおじさんの家に泊まりに来たような既視感でした。
VIII. 六根清浄の大輪唱
15:20
ご主人がお風呂の支度をし、私が着替えの準備をしている間に女性が到着。
20分ほどの差でした。
私は、街道マップに記されている標準の歩行記録(健脚の成人男性が歩いた場合)より1時間早く到着しており、かなり速いペースだったと思うので、女性もかなりのハイペースだったことがうかがえます。
そして間もなく、風呂の準備ができたとご主人から声がかかったので、すぐに入浴。
一般の住宅の風呂場と大差ない大きさではありますが、掃除が行き届いていてとても気持ちが良い。
ご主人が「差し支えなければ洗濯しますよ」と気遣って下ったので、下着から何から全部お願いしてしまいました。
17:30
風呂から上がって、部屋でのんびり過ごしていたら今度は夕食の声がかかります。
出入り口に設置されたテーブルに行くと例の女性が既に席に着いていました。
アユの姿焼きなど、その土地の料理をおいしくいただきながら、ご主人と三人で談笑。
円座石の文字が見えなくて残念だった、という話になると、実はあれはある地元の人が良かれと思って白いペンキで文字をなぞったら他の地元民から大層反感を買ったものなのだそうです。
「ありのままの姿の方がいいという考え方もあるよ。」
とご主人に諭されてしまいました。
ところで、このテーブルがある玄関にはオーストラリアの国旗やらコアラのぬいぐるみやらがたくさん置かれています。
オーストラリアにゆかりがあるのかと尋ねてみると、オーストラリアやニュージーランドから来る観光客が多く、彼らは日本人のお土産文化を知ってか知らずか、このようなものをたくさんくれるのだそうです。
そんな彼らの中には、軽装で熊野古道に入り、想像以上の手つかずの自然に驚く人もいるのだそう。
中には途中で動けなくなり、夜中に迎えに行ったということも。
ご主人が向こう側からライトをつけて現れたときの様子を描いてプレゼントされたという絵も部屋に飾られていました。
ご主人いわく、よっぽど怖かったんだろうね・・・と。
ご主人はいままで何人もの命を助けた、と言っていました。
自分が駆けつけなければおそらく低体温で死んでいただろうという人も。
その言葉には重みがありました。
山を甘く見てはいけないと、改めて身が引き締まりました。
しかし驚いたのはこの熊野古道。
ご主人が子どものころは楠の久保旅籠あたりにまで一般住宅があって、そこから学校に通っていた同級生がいたのだそうです。
また、ご主人のおじいさんのころは熊野古道は生活道であり、魚を仕入れに大雲取越を越えて那智勝浦の港まで行っていたのだとか。
昔の人は強すぎる。。
ところで熊野古道は修験道の聖地でもあります。
修験道とは、山へ籠もって厳しい修行を行い悟りを得ようとする山岳信仰。
修験者は山道での踏ん張り時に「六根清浄」を輪唱します。
「六根」とは、眼(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)、身(触覚)、意(意識)であり、「六根清浄」とは「人間に備わった六根を清らかにすること」を言います。
ご主人がこの「六根清浄」を輪唱して今日を締めくくろうと提案し、
ご主人の掛け声(大声)に合わせて私たち二人が唱える(大声)という一風変わったイベントが行われました。
ご主人「六根清浄~~」 私達「六根清浄~~」
ご主人「懺悔懺悔~~」 私達「懺悔懺悔~~」
20:00に自室に戻り、しばらくダラダラと過ごして22:30頃にオットと連絡を取って就寝。
明日もまた何時間も孤独に山を歩くのか、と想像すると、もうおなかいっぱいなんだけどなあ、という気持ちになりました(トホホ)。
本日の歩行距離14.5km(那智大社~小口)
そしてDAY4につづく・・・
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?